Dragger Than Musiceian

GM
きみが目を醒ましてから100年の月日が流れました。
GM
兎は落下し、猫は干乾び、帽子は裂け、女王は壊れ、
GM
大いなる暴力と死が、堕落した国に降り注ぎます。
GM
僕らは今も、新たなアリスを待ちわびています。
GM
右も左も分からない、来たばかりの『救世主』を
兎耳の男
「ちょうど、これから街にむかうところだったんですよ」
ウェウェ
「……その、”救世主様”ってのは一体何なのさ。オレは『ウェウェ』ってんだけど」
ウェウェ
荷台に短い腕を組み。短い足を投げ出して。
ウェウェ
尖った耳と小さな背で、それが『草原を駆ける者』であることがわかる者はここにはいないだろうが、そう呼ばれる種族である。
ウェウェ
だらりとした態度ながら、油断のない鋭い瞳であたりを見回す。
こう見えてもかつては一流の冒険者だった。
兎耳の男
「皆さん、こちらに来られたばかりなのですねぇ」
兎耳の男
「僕は光栄ですよ、こうして皆さんの導き手になれるなんて」
ウェウェ
怪訝な顔。何言ってるかわかる?という視線を他の二人にも向ける。
ウェウェ
その視線にそれほど棘はない。
もとは相当に場数を踏んだ冒険者の余裕か、はたまた投げやりさか。
ウェウェ
未だ本人に自覚はないが――
この男もまた、《救世主》として相応に心の疵を持っている。
ウェウェ
『忘れ得ぬ仲間たち』
かつて魔王討伐の命を受けた勇者一団に、
盗賊の身でありながら吟遊詩人として同行していた。
冒険は過酷だったが楽しかった。
そして魔王討伐は成った。
だがその功績は彼らのものにはならなかった。
ウェウェ
《魔王》と呼ばれた世界の敵を討つため、勇者の一団にいたことがある。
彼らとは実に5年近くの月日を共にした。
そこには命懸けで築いた絆が確かにあった。
ウェウェ
けれど彼のもといた世界にそれは語られない。
魔王を討伐できるということは、つまるところ。
魔王を超える世界の敵だったのだ。
ウェウェ
『語らぬ語り手』
冒険を語り継ぐのが自分の役目だと思っていた。
けれどそれは叶わなかった。
彼はもう歌うことができない。
呪いによってその声はひび割れ、嗄れている。
ウェウェ
もとは盗賊《シーフ》の身分でありながら吟遊詩人《バード》として。
彼らの冒険を一番そばで見て。それを世界に語る日を夢見ていた。
ウェウェ
けれどもそれは禁じられた。迫害を恐れず歌おうとすれば呪われた。
ウェウェ
それきり。
一団は散り散りになり、心躍る冒険の日々から離れて暮らしていた。
ウェウェ
あるとき郵便受けに届いた一通の赤い手紙の封を切るまでは。
兎耳の男
そういって男が話すのは、この国の成り立ち。
兎耳の男
原初のアリスがいなくなってから、荒廃していった国のなりたち。
兎耳の男
「皆さん、封筒を受け取られたでしょう?」
伊藤 晶
「封筒……あぁ、そんなようなものもあったような……」
伊藤 晶
「……はぁ、それにしても訳が分からないな。堕落だの、救世主だの……」
伊藤 晶
「それから、名乗った覚えもない名称で呼ばれても不愉快だ。僕は伊藤晶。名前であれば好きに呼んでいい」
伊藤 晶
「……早く帰って、練習しないといけないのに……どうしたものか……」
伊藤 晶
ぽつり、と小さくこぼす。
……練習に対するモチベーションなんてない癖に。
伊藤 晶
でも、それは義務だから。
僕がやらなければならないことだから。
やらなければ、怒られてしまうから。
伊藤 晶
──彼はピアノが得意だ。だって彼にはそれしかない。
──彼はピアノが嫌いだ。だって彼にはこれしかない。
兎耳の男
「そうですか!それなら、ほら……コインをお持ちでしょう」
兎耳の男
そうして男が話すのは、六ペンスコインのもつ力のこと。
兎耳の男
救世主によっては、馴染み深いものを『力』として取り出したりする場合もあるという。
兎耳の男
「ピアノも、ご利用になれるかもしれませんねぇ」
伊藤 晶
こんな異世界に来てもピアノからは逃れられないらしい。
……或いは、逃れたいとも思えていないのかもしれない。
自分でも判然としない心持ちのまま、それでお前はなんなんだ、と最後に残った女に目をやった。
佐藤 優子
「あぇ?私?私も気づいたらって感じだよ?」
佐藤 優子
「郵便受けに入ってたらそりゃ自分宛かな~?って見ちゃうよね…うぅ…なんでこんな所に…」
佐藤 優子
「えーと…?ウェウェくんは一人で旅をしてたのかな?凄いねぇ。こんなに小さいのに一人で偉いねぇ」
ウェウェ
「ド失礼な女だな!これだから人間ってやつぁ!」きーっ
兎耳の男
「救世主様ってのは怖いもの知らずですねぇ」
佐藤 優子
「晶くんは学生さん、だよね?ピアノやってるの?凄いね!合唱祭で弾ける人って目立つからかっこいいな~!って学生の頃によく思ってたんだよね」ぷにぷにを楽しみながら
伊藤 晶
「……そりゃあ、何にもしてない凡人よりはな。当然だろう」
佐藤 優子
「…そうだね。何か特技があるっていい事だよ」
佐藤 優子
「あ、私は『佐藤優子』って言います。なんて呼んでもらってもいいよ!」
佐藤 優子
『底なしの愛され願望』
何かになりたい
誰かになりたい
ただひとつの、唯一無二の
私が居なくなったら世界が変わってしまうような、そんな特別な何かに
─でも、自分にはそんなもの…
佐藤 優子
『憧れ』
佐藤優子は人畜無害である。
どこにでもいる、ありふれた凡人である。
故に憧れる。「何か」に。
それが何なのかは未だ自身にも分からない。
佐藤 優子
「とりあえず皆でおうちに帰れるように頑張ろうね!おー!」
兎耳の男
「お家に、みんなで、ですか……それは……」
兎耳の男
「はあ、まあ……言い伝えなんですけどね」
GM
前を歩いていた亡者馬が立ち止まり、怯えるように足踏みをする。
GM
ぼとりと、三人の救世主の座っている荷台の真ん中に、御者の男の右腕が落ちる。
GM
男は悲鳴をあげる事もできず、その場に倒れる。
GM
倒れた体の腕があったばしょから川のように血が流れ出て、乾いた地面を赤く染める。
ウェウェ
「女!お前なんでもいいからそいつの腕縛ってやれ!」
伊藤 晶
少しでも転がっている腕から遠ざかろうと後ずさる。
佐藤 優子
「だ、大丈夫ですか…痛いと思いますけど我慢してくださいね」あたふたしながら
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
「うふふふふ……ふふふっ♪」
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
馬車の周りをウェウェよりも小さな
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
それこそ、虫のような少女が飛び回る。
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
その手には血濡れのスティレットを握っている。
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
「美味しそうなお花が……ひとぉつ、ふたぁつ」
兎耳の男
「ああ……ダメです、皆さん……逃げられないなら……」
ウェウェ
目で捉えることは出来ても咄嗟には追いつけない。
おまけに後ろにいるひょろっちいのは役に立たなそうだし……
伊藤 晶
「はっ、花なんてここにはないだろ!?目が悪いのか!?」
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
「しゃべるおはなさん」
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
「あなたのみつは どんなあじ?」
佐藤 優子
「ちょ、ちょっと待って、私達貴方に危害を加える気は…!」
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
「エルエッタ、どれから食べるか……迷っちゃうなぁ……」
伊藤 晶
「こっちがなくてもあっちがあるだろバカなのかアンタ!!」
伊藤 晶
「な、なんとかして、逃げ……逃げれるのかこれ……!?」
佐藤 優子
「こんな物騒なんて聞いてないんだけど!?うるさい!誰だってビックリするでしょ?!」
GM
此処で獲得、使用した小道具は裁判閉廷時に改定前に戻ります。
GM
それぞれ1d6+才覚で行動順を決定してください
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
1d6 (1D6) > 4
伊藤 晶
1d6+3+2+1 (1D6+3+2+1) > 1[1]+3+2+1 > 7
GM
伊藤 晶>ウェウェ>エルエッタ >佐藤 優子
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
*d3 d5 s6 sJ hA
伊藤 晶
更に後退る、がすぐに体は荷台の端にぶつかり止まってしまう。
これ以上、逃げ場はない。
……無防備に背中を向け、走り出さない限りは。
その選択肢がちらりと脳裏をよぎり、我知らず拳を握った。〆
ウェウェ
2d6+3=>7 判定(+猟奇) (2D6+3>=7) > 10[5,5]+3 > 13 > 成功
ウェウェ
1d6+2+1+2+3 ダメージ+殺意+兇刃+鋭気 (1D6+2+1+2+3) > 3[3]+2+1+2+3 > 11
[ "枯れた群雀蘭"のエルエッタ ] HP : 18 → 7
ウェウェ
ひゅ、と風を切る音がしてスティレットが飛ぶ。
ウェウェ
それはもといた世界ではない感覚だった。
種族的に乏しい筋力を補うような、
なんらかの加護《バフ》の働いている、そんな感触。
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
振るわれた刃がきらめき、ぱっくりと左足の肉が断たれる。
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
「えーんえーん いたい いたい」
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
「お花ちゃんがいじめるよう」
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
少し傾きながらも、忙しなく動く翅はまだ弱ってはいない。
ウェウェ
「うるせえ泣くな!そっちのなんか腕切れてんだぞ!」
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
ぽた、ぽたと足から真っ赤なしずくが
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
*鋭気 d3 刹那をウェウェに sJ
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
2d6+3=>7 判定(+猟奇) (2D6+3>=7) > 8[4,4]+3 > 11 > 成功
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
1D6+2+3 ダメージ+鋭気 (1D6+2+3) > 4[4]+2+3 > 9
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
握った血濡れのスティレットの切っ先をウェウェにまっすぐ向けて
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
弾丸のように一直線に、脇腹をめがけて跳ぶ。
佐藤 優子
2d6+3=>7 判定(+愛) (2D6+3>=7) > 8[4,4]+3 > 11 > 成功
GM
*晶は手札が5枚を超えたため、1枚破棄してください
佐藤 優子
「晶くん、大丈夫?怪我とかした…?立てる?」手を差し伸べる
佐藤 優子
「よく分からないけど戦わなきゃいけないみたいだし…私も怖いけどお互い頑張ろう!」/
伊藤 晶
「………っ、僕を馬鹿にしてるのか!?ていうかアンタ頭足りてないんじゃないか!?」
伊藤 晶
「そんな簡単にできる話じゃないだろう!?どうしてそんなに気楽でいられるんだ、訳がわからない……!」
伊藤 晶
差し伸べられた手を振り払い、その勢いで立ち上がる。
視線は前に─戦場に─向くが、その足は踏み出す気配を見せない。/
ウェウェ
「おい!くっちゃべってねえで気をつけろ!」
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
*cJ hQ cK sK (hA)
伊藤 晶
足は震えて動かない。
乱暴なことをしている場に、手なんか出せる訳がない。
なら。だったら。
……見ている事くらいは、出来るんじゃないか。
見て、見て、何か、何か一つくらい、僕にだって出来ることが……。
未だ手足は冷えたまま。
じっと、目の前の戦場を見据える。
〆
ウェウェ
2d6+3=>7 判定(+猟奇) (2D6+3>=7) > 8[5,3]+3 > 11 > 成功
[ "枯れた群雀蘭"のエルエッタ ] HP : 7 → 1
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
2d6+3-1=>7 判定(+猟奇) (2D6+3-1>=7) > 8[5,3]+3-1 > 10 > 成功
佐藤 優子
2d6+3=>7 判定(+愛) (2D6+3>=7) > 6[2,4]+3 > 9 > 成功
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
1d6 (1D6) > 6
伊藤 晶
2d6+3+1+1+5=>7 判定(+才覚+万能+多彩な凶器+精確) (2D6+3+1+1+5>=7) > 11[6,5]+3+1+1+5 > 21 > 成功
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
2d6+3=>7 判定(+猟奇) (2D6+3>=7) > 3[2,1]+3 > 6 > 失敗
伊藤 晶
C(3+3) ダメージ+間隙 c(3+3) > 6
[ "枯れた群雀蘭"のエルエッタ ] HP : 1 → 0
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
2d6+1-0 判決表 (2D6+1-0) > 3[1,2]+1-0 > 4
ウェウェ
腰巻きに並んだスティレットの二本めをぐるりと回して構える。
ウェウェ
後ろの二人はどう見たって戦闘慣れしているようには見えない。
ウェウェ
大方都会のお坊ちゃんお嬢ちゃんってとこだろ。しらんけど。
ウェウェ
さっさと終わらせるに限る、と飛び回る妖精に飛びかかった。
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
きらきらと翅から鱗粉を撒き散らしながら飛び回る。
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
ちくちく、きらきらと
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
重い鱗粉が襲い、ウェウェにふりかかる
ウェウェ
吸い込むとろくなことにはならない。
襟巻きを押さえて、マントで鱗粉を払う。
ウェウェ
重い布の翻りがわずかに妖精の動きを阻むが、決定的にはなりえない。
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
それをうけ、小さな妖精が向かうのは
佐藤 優子
なんだかわからないけど絶対に良くない…!
咄嗟に身体が動いて晶を突き飛ばす
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
すると、代わりに優子の上に鱗粉がふりかかる。
佐藤 優子
ちくり、とわずかな痛み。
ウェウェに比べれば大したことはないが初めての経験。恐怖を感じるには十分だった。
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
だんだんと空中で残った足を踏み鳴らすような仕草をすると
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
再びウェウェに向かってスティレットを構える。
伊藤 晶
「っの、バカ、バカ女!」
突き飛ばされて、たたらを踏む。
体勢は崩すけれど、その目は確かに見ていた。
伊藤 晶
妖精のような奇妙な存在も。
生意気そうな小さな男も。
脳みそ足りてないバカな女も。
その動き。その速度。全て、全てを見ていた。
だから。
伊藤 晶
手が自然に動き出す。
precipitand. 急速に、突進するように。
何か行動だなんて、させるわけがない。
突き飛ばされるように、吹き飛んでしまえ!
伊藤 晶
そのまま指は、空を鍵盤にして滑らかに動く。
agitato. 苛立って、咳き込むように。
この訳の分からない状況に巻き込まれた怒りも、危機に晒された恐怖も、全てを織り交ぜて奏でる幻想の音。
伊藤 晶
その音は妖精の鼓膜を貫き、脳に反響し、生まれた間隙を突く!
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
突風に煽られるように、小さい体は上へ下へ
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
荷馬車の角にぶつかり、床にぶつかって、跳ねて
"枯れた群雀蘭"のエルエッタ
あわれ、地面に投げ出され、奇妙な悲鳴を上げて痙攣する
???
足をどけると、その下で潰された妖精はぴくりともしない。
ウェウェ
スティレットを構え直すが、……脇腹の痛みは誤魔化しきれない。
???
「その人、早く治してあげたほうがいいですよ」
佐藤 優子
「…え!?あ、は、はい!」
言われるがまま兎に駆け寄って処置をする
伊藤 晶
わけがわからない、という顔をしている。
目の前の状況がまるで飲み込めていない。
GM
男はそれ以上何をすることもなく、背を向けて去っていく。
伊藤 晶
「さ、さようなら……?」
訳の分からないまま呆然と見送る。
唐突に嵐が来たような、何かよく分からないものが通っていったような、そんな感覚。
ウェウェ
獲物を構えたまま呆然と見送る。
連戦を避けられたのは幸いだが、不気味だった。
佐藤 優子
…よく分からないけど褒められたな?と思いつつ兎さんに救済を
佐藤 優子
3d6 救済~! (3D6) > 12[6,3,3] > 12
佐藤 優子
「ええと…なんかこう…魔法の力的な…」
佐藤 優子
むむむ…と絵本に出てきた魔法使いをイメージに。治れと念じながら手を兎さんの腕に当てる
GM
そうして、腕を失った部分、止血をした部分がもこりと盛り上がり
佐藤 優子
「うわぁ…すごいけどすっごい…なぁ…」ドン引き
兎耳の男
「ありがとうございます、救世主様……!」
伊藤 晶
ぼーっと先程の男が去っていった方を見ていたので何も見ていない。見ていないったら見ていない。
佐藤 優子
「それは良かったです。ええと…お大事に…?」
兎耳の男
「いやぁ、それに、馬が臆病で助かりました」
ウェウェ
「聖職者《プリースト》だったのか、おまえ」
佐藤 優子
「うん?分からないけどかっこいいね?そうなのかなぁ?」
兎耳の男
「それじゃ、皆さん。汚れてしまってすみませんが、荷台の方へ」
ウェウェ
「……ま、いいや。さっさと街に行こう。ここに居ちゃいくら命があったって足りねえや」
伊藤 晶
「……この腕は、そのままなのか……?」
独り言。流石に嫌だけど背は腹に変えられないし……。
ウェウェ
血まみれの荷台をさほど気にせず―勿論嫌な顔はしたが―飛び乗る。
佐藤 優子
「…汚れ、いや、はい…ありがとうございます…」
兎耳の男
「新鮮な肉を食べられることなんて、めったにありませんから」
伊藤 晶
「そんな訳な、……あるな!!!ありかもじゃない!!」
佐藤 優子
嫌な予感しかしないなこの国…おそらきれ…いやあんま綺麗じゃない…
伊藤 晶
しぶしぶ、しぶっっっっっしぶ荷台に乗り込みなるべく腕から離れたところに座る。
ウェウェ
「……堕落の国ってなぁ、ずいぶん……どうしようもねえとこなんだなあ……」
GM
仕入れに行くのだという男が分かれる前に言ったことには
GM
『酒場なら宿を兼ねているから、救世主様なら泊めてくれるだろう』とのこと
GM
街の中を歩いているのは、男と同じようなウサギの耳を生やしたもの
伊藤 晶
「よく分からない奴らでいっぱいだな……ええと、酒場って言ってたか……?」
辺りをキョロキョロ
伊藤 晶
ぎゅ、と眉間に皺を寄せて嫌そうな顔をする。
佐藤 優子
「でもファンタジーって感じで少しワクワクするね!」
ウェウェ
ぽってぽってと先導して、酒場へと向かった。
佐藤 優子
「ふふ、頼もしいなぁ」
後姿を眺めつつ付いて行きます
GM
完全に日が暮れる前に、酒場らしき建物が見えてきた。
伊藤 晶
「ただの酔っ払いじゃないのか?座り込んでるやつとかいるし」
GM
テンポのよい低音と綺羅びやかな装飾音が混ざる
ウェウェ
その辺に座り込んでいる末裔を押しのけて窓から中を覗く。
伊藤 晶
「クラシックでも、ロックでもない。どれかというならポップスなんだろうが、装飾音が特徴的……それに、まるで全体が機械のよう」
伊藤 晶
「DTM……だったか?僕もあまり、電子関係には詳しくないんだが」
佐藤 優子
「わ!なんかノリノリだね。これは皆聴きたくなっちゃうの分かるな~」呑気に笑いながら
唖哩吮P
『~♪ 嫌なんだ そう 僕の存在は ♪~』
GM
エフェクトのかかったような、少し電子音によった響き。
伊藤 晶
「…………」
聞こえてきた歌詞にぴくり、と反応する。
決して聞き覚えがある訳ではない。寧ろ、全く聞いた事がない。
だが、どことなく感じるものがある。
唖哩吮P
『~♪ ああ そんな 毎日なんて ♪~』
ウェウェ
「……」
それを歌だと認識するのに少しかかった。
あまりにも奇妙に聞こえたから。
ウェウェ
肩から掛けた小ぶりのミンストレルが揺れる。
もう随分と古びてしまったそれが。
唖哩吮P
よくSF映画で見るような画面なんかが浮いている。
GM
男がそう言うと、酒場につめていた客の末裔たちは、商売のじゃまにならないようにはけていく
ウェウェ
酒場独特の空気はまだ返らず、祭のあとの熱気。
伊藤 晶
「……酒場とやらには初めて入ったけど、この雰囲気はあんまり好きになれないな」
伊藤 晶
敢えて先程の音楽については触れない。
触れたくない。
ウェウェ
「そうかあ?都会のおこちゃまは上品だねえ」
佐藤 優子
「私は結構好きだけどなぁ。映画のセットみたいだよね」
佐藤 優子
「生歌凄かったねぇ!流石酒場って感じ!あの人の歌また聴きたいなぁ~!」
佐藤 優子
熱気につられてちょっと頬が赤くなってるかもしれない。浮き足立って着いていく
伊藤 晶
この女はもうここに置いていっていい気がした
唖哩吮P
「だって、このへんで現代服とか見たことないしさぁ」
唖哩吮P
「俺、唖哩吮Pって呼ばれてるんだけど、あの、ほら。ディーバロイドPの」
伊藤 晶
「ディーバロイド自体は知っているが……ありすP?聞いたことがないな」
佐藤 優子
「しらないの唖哩吮Pだよ!?めちゃくちゃ有名だよ!?」
佐藤 優子
「ファンです!さっきの生歌最高でした~~!!」
唖哩吮P
「まさかこんな世界で俺の歌を知ってる人にあうとはね~」
唖哩吮P
唖哩吮Pといえば、知ってる人は知っている、ちょっとだけ有名なPである。
伊藤 晶
「ディーバロイドは知ってるか?」
しゃがんでこそこそ
唖哩吮P
奇抜な格好で自分でも歌をうたうことがあり、YO-tubeでもそこそこファンがついているのだ。
ウェウェ
「なんだ?邪教かなんかか?」こそこそ返した。
唖哩吮P
「あれっ、そっちの子も救世主?末裔かと思った」
伊藤 晶
「パソコン上で合成音声使って楽曲作るソフトウェアだよ」
伊藤 晶
「……なんかちょっと不安になってきたな。おい、パソコンは分かるよな?」
唖哩吮P
「なんかさ、異世界転生?みたいなのだと思ったんだけど」
唖哩吮P
「現代からじゃなくてめっちゃファンタジーとかからも転生してくるらしいよ」
唖哩吮P
「でもね、ここコンビニもファミレスもねーの」
ウェウェ
めっちゃファンタジーとかから転生してきました。転生ってなに?
伊藤 晶
「ファンタジー……なるほどな……?いや正直言ってこの状況に成程って納得できる事なんて一つも無いんだが」
佐藤 優子
「あ、じゃあウェウェくんは別の世界から来たってことかな?」
伊藤 晶
「まぁ……随分戦い慣れてそうだったし……否定は出来ないな」
ウェウェ
「……なんか……まあ、よくわかんねえけど……少なくともあんたらよりはあっち《末裔》のほうが馴染みは深いわな」
伊藤 晶
「音楽を作る手段の一種、という認識で十分だろう。特殊な楽器とでも思えばいい。○○P、と呼ばれる連中はそれを用いて楽曲を制作してるんだ」
伊藤 晶
「……さわりだけだ。そこまで深くは知らない。専門じゃ無いからな」
唖哩吮P
そう言うと、肩の上辺りにそれぞれスピーカーが浮き上がる。
ウェウェ
「ふぅん……楽器にしちゃあなんとも……うわ」
ウェウェ
コメントしづらい顔。音楽だと認識するには、常識がかけ離れているのだった。
伊藤 晶
「まぁ、それでこの水色頭は楽曲を作る人間の中でもそれなりに有名……?らしい。僕はよく知らん。 で?そんな有名人様がこんなところで僕たちなんか呼び止めて、どうしたんだ?」
後半は唖哩吮Pに
ウェウェ
学者《セージ》みたいな早口だな……と思った。
唖哩吮P
「いや~、救世主ってやつ初めてみたからさ」
小山内 廻
酒場の奥から、もうひとり男が顔を出す。
小山内 廻
「小山内 廻(おさない めぐる)です。はじめまして」
佐藤 優子
「あ!そういえば名前。私は佐藤優子です。はじめまして!」
伊藤 晶
「……伊藤晶。ところで、お前たちはここで何を?」
唖哩吮P
「吟遊詩人……っていうの?なんか、酒場で演奏してお金もらってるんだよ」
伊藤 晶
「アンタ、よくこんな奴と一緒にいるな」
小山内くんに
ウェウェ
「救世主だかなんだか知らねえけど、とりあえず主人は」
佐藤 優子
「こちらこそよろしくお願いします」わ~!にこにこ!
佐藤 優子
「あ!そうだ!廻さんも歌うんですか?」
佐藤 優子
「そういえば晶くんも音楽してるんだよね?ピアノだっけ?」
ウェウェ
肩を竦める。聴くつもりがなくてもこの宿にいる限りは聞くことなるだろう。
ウェウェ
さりげな~くミンストレルをマントの下に遣った。
絡まれては面倒だ。
伊藤 晶
「……はぁ。そもそも、僕の専門はクラシックだ。お前たちの音楽とは合わないだろうし、僕に合わせる気は無い」
小山内 廻
「私も、聴いてみたいです……気が向いたらで、大丈夫ですが……」
小山内 廻
「この国にあったとしても、チューニングとか大変ですしね」
伊藤 晶
「あぁ、そうだな……調律もきちんと済んだ、良いピアノが見つかったら、聴かせてやらない事もない。まぁ、そんなものがあればの話だけどな」
ウェウェ
さっき音出してなかったか、というのは、言わなかった。
唖哩吮P
「優子ちゃんもやっちゃう?タンバリンとか?」
佐藤 優子
「ふふ、いいですね!皆で大合奏とか?」
佐藤 優子
「わぁ…唖哩吮Pの生演奏で乗れるとか夢みたいです…!」
伊藤 晶
「……ひとまず。受付をして休まないか。今日は色々あったし、正直疲れた……」
唖哩吮P
「あっ、晩御飯奢るよ。街ついたばっかでしょ、ここしか宿ないし!」
唖哩吮P
「つっても、食べれんのちっちゃいパンとワインくらいだけどね~」
佐藤 優子
「いいんですか?せっかくだから皆の話も聞きたいしご一緒しちゃおうかな!ね?」って二人に
唖哩吮P
「明日でもいいよ~、ほら、部屋にさ、運んでもらうからさ」
唖哩吮P
「亡者の筋張った硬い干し肉じゃなくて?」
佐藤 優子
「…もうちょっと柔らかくて生々しかったですね……」
ウェウェ
こういう初めて出会って親切にしてくるやつってろくなことねえんだよ
伊藤 晶
「聞かない方が身の為だと思うがそれはそれとして僕もご飯は別室で取ることにするよ」
佐藤 優子
「あ、じゃあ別日に一緒に食べましょう?少しはここに慣れてからの方がいいだろうし。私達も仲良くしたいと思ってるので!」
小山内 廻
「でも、アリスにお気遣いいただかなくても、大丈夫ですから」
佐藤 優子
「はい。明日楽しみにしてます!おやすみなさい」
ウェウェ
馴れ合う気はあまりないような、そっけない挨拶。
GM
そうして、堕落の国での初めての夜が更けていく。
GM
1:客室
2:酒場
3:倉庫
4:広場
5:雑貨屋
6:裏路地
ウェウェ
*PKの心の疵を抉りたいぜ。廻のライブシーンやってほしいぜ
GM
現代日本では考えられないほど簡素で粗末なベッドにペラペラの掛け布団。
GM
そうして、『なにもなさ』にひたっていれば夕方。
GM
その人に紛れて歩いてくれば、ひとつの大きなテーブルをステージ代わりに廻が腰掛けている。
ウェウェ
情報収集を終えて酒場に戻ってくる。
わかったことは”この国は思っていた百倍ろくでもない”ということ。
それだけが唯一にして無二の情報だ。
ウェウェ
だが、この”救世主”とかいう立場を初めから持っていることは割合良いことのように思えた。冒険者だとか、勇者だとか、そういった”厄介者”に押し付けられる肩書と、そう変わりはないだろう。
ウェウェ
昨日と同じ程度の人だかりに眉を寄せて――優子を見つける。
佐藤 優子
「あ!こんばんは!やっぱりみんな集まったね~!」
小山内 廻
思わす声を出してしまったが、準備を優先して視線を戻した。
佐藤 優子
「あら?邪魔しちゃったかな?ま、プロだもんね。このくらいどうってことないかぁ」
佐藤 優子
「そりゃあ何にもないんだもんここ。楽しみになるに決まってるよね」
佐藤 優子
「さぁ?どこかに入ると思うよ?おーい!晶くーん?」
ウェウェ
あたりを見回す。末裔だという奴らがぎゅうぎゅうに押し合っていても、救世主と見ればいくらかの畏怖の視線が刺さり、距離感が保たれている。
伊藤 晶
すみっこの方で壁の花に……なっていたかった。
ウェウェ
こっちに来い、とまでは言わないが、少し口角が上がる。
魔術師《ソーサラー》連中の仕草にそっくりで、おかしかった。
佐藤 優子
「あ~そういうお年頃かな…?うんうん。分かるよ。なんかこういう所に一人で「いつもいます」みたいな顔でいるのってかっこいいよね。分かるよ。」神妙に頷いて
佐藤 優子
「…他人がいいならそうしよっか?っていうデリカシー?だよ?」
伊藤 晶
「この国よりなによりこいつが一番イカレてる気がしてきた……」
ウェウェ
「……まあいいや。この騒ぎが落ち着かねえと飯頼んでも出てこねえだろ」
小山内 廻
しばらくすると、テーブルの上に登った廻がその場で正座をする。
小山内 廻
そのまま彼が一礼する。
手をかざすと、一層の和琴が目の前に。
小山内 廻
見たことのないような、美しい風景が思い浮かぶ。
小山内 廻
その手元は一回一回を丁寧に。
その視線は真剣そのものであるが
小山内 廻
粋なMCもなく、ただ琴の音だけが流れる時間が続いて。
ウェウェ
拍手だの感嘆の溜息だの、隣の小さなつぶやきだの。
ウェウェ
良くも悪くも張り詰めていた糸が解けるような感覚が周囲に漂う。
ウェウェ
やがて名残惜しげな時間があって、人々が引いていく。
佐藤 優子
「素直じゃないな~!そこは「最高だった!」でしょ!!」
ウェウェ
別に救世主全員で食卓を囲む義理もないのだが、敢えて避ける理由もない。
小山内 廻
「すみません、またアリスさんが迷惑を」
小山内 廻
「お聴きいただいてありがとうございます」
ウェウェ
「……ヤマトゴトってのは初めて聞いたけど、あれだな、似たのは聞いたことあったわ」
ウェウェ
「東の島国に行ったとき、キレーな姉ちゃんが弾いててさ。あれに似てたな」
小山内 廻
「なるほど……他の世界でも似たような楽器があるんですね」
ウェウェ
「少なくとも昨日のよりは分かる音だったわ」
佐藤 優子
「すっごいなんか、聴き入っちゃったっていうか、唖哩吮さんのとはまた違った良さがあって最高でした!」
ウェウェ
薄くて苦い、エールのような何かを啜りながら首を傾げる。
唖哩吮P
「いやぁ、俺たち明日明後日には次の街に行こうかなって思ってる」
佐藤 優子
「5人に増えたら楽しいですよ!迷惑だなんて!」
唖哩吮P
「人が多いほうが安全ってのはそうかもね」
伊藤 晶
「あの妖精みたいなやつ、は別に死んでなかったと思うけど」
佐藤 優子
「お2人はその亡者?を見たことがあるんですか?」
唖哩吮P
「うんうん。なんか、でっかい化け物が出るんだよ」
唖哩吮P
「俺たちが見たのは人食い三月ってやつだけど、口がこう、縦にぐわ~ってひらいてさ」
伊藤 晶
「人食いって名前なくらいだし、主食人間だったりしてな」
ウェウェ
「まあ、実際食うんだろうよ。末裔どもは戦えないっていうから、救世主がそれを退治してやる、ってか」
ウェウェ
「確かに人数がいたほうが安全そうだが……」
小山内 廻
「俺たちも倒してはないんだ。なんとか逃げてきただけで」
ウェウェ
「楽器しか持てませんみたいな顔してるもんな」
唖哩吮P
「ここの村の前のところは結構大きな壁があってさ」
唖哩吮P
「ここの人たちには悪いけど、俺達じゃどうしようもないからさ」
ウェウェ
「結局どこも腕っぷしがあるそこそこの用心棒がほしいわけだ」
唖哩吮P
「ま、どんな音楽も珍しいって話だから、出てくのは寂しがられるとは思うけどね」
ウェウェ
「お前のは音楽ってよりなんだ。……なんだあれ」
唖哩吮P
「スピーカーだけど……君の故郷ではなさそうだね」
ウェウェ
「なんか……呪われた時みてえな音だった」
ウェウェ
「やっぱ音楽ってのは楽器とココでやるもんよ」
親指で胸を指す。いくらか酔っているようだった。
唖哩吮P
「……まあ、確かにDTMって誰がやっても」
ウェウェ
「教えてもらえばいいじゃん、あっちに」廻を差す。
唖哩吮P
誰が作ったかなんてわからない、かもしれない、本当は。
ウェウェ
*唖哩吮Pの心の疵《こういうの》を猟奇で抉ります。
小山内 廻
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
小山内 廻
2d6+0=>7 判定(+猟奇) (2D6+0>=7) > 6[4,2]+0 > 6 > 失敗
ウェウェ
2d6+3=>7 判定(+猟奇) (2D6+3>=7) > 6[5,1]+3 > 9 > 成功
[ 唖哩吮P ] こういうの(ウェ) : 0 → -1
ウェウェ
「そっちの指は見りゃ分かる、よくやってる指だ」
ウェウェ
自分の、語るために覚えた楽器とはまた違う。
形のない敵と戦うための音。
唖哩吮P
「確かに練習はいらないけどさ、俺だって」
唖哩吮P
「みんなが聴きたい音楽とか、ちゃんと考えて作ってんだよ」
唖哩吮P
「確かにさ、キーボードとかツマミじゃ指なんか綺麗かもしれないけどさ……」
唖哩吮P
「だって、みんな……喜んでくれるから……」
唖哩吮P
「『こういうの』が聴きたかったって……」
ウェウェ
「じゃ、おまえ、自分のためにやってんじゃないの」
ウェウェ
継ごうとした言葉を遮る唖哩吮に、ようやく。
ウェウェ
”デリカシーがなかった”ことに気づいた。
伊藤 晶
「…………」
目を伏せて、一つ息を吐く。
何も言えない。言う資格がない。
伊藤 晶
──自分の為にやってなきゃダメなのか、なんて。
伊藤 晶
そんな事、口に出せる筈もない。
全てから目を逸らして、そっと自分の腕に爪を立てた。
伊藤 晶
「……」
挨拶に応えを返さずに、つかつかと部屋に戻っていく。
振り返る事は、ない。
GM
誰かに聴いてほしいのか、誰もに聴いてほしいのか
佐藤 優子
*シーンは客室。晶君の傷を舐めます。さっきのシーンの続きで!
GM
演奏が終わった階下では、日頃の疲れを癒やすように酒を飲み交わす声。
GM
窓の外は夜の間も曇っており、部屋にはシャワーもない。
GM
ちくちくする藁のベッドに、桶に数センチだけ溜められた水。
伊藤 晶
部屋に戻ってきたはいいものの、眠る気にはなれない。
窓の外を見ても、星もなければ月もなく、吹いてくる風はどことなく淀んでいる。
伊藤 晶
なんとはなしに窓辺に佇んで、目を閉じて階下の喧騒に耳を傾ける。
──先ほどまでの演奏なんてきれいさっぱり消えてしまったかのような、品のない音。
伊藤 晶
「……終わったら、それまで。全て忘れられる。それは何処に行っても変わりないんだな」
佐藤 優子
ギシギシと登る度に危なっかしい音を立てる階段を登りながらどうしようかと考える。
佐藤 優子
─かなーり、だいぶ、すっごく、何か抱えてるんだろうなぁきっと
佐藤 優子
「脆いお年頃だしなぁ…うん、ここはお姉さんが何とかしてあげなくちゃね!」
佐藤 優子
何も気にしてないように。いつも通りに。
伊藤 晶
「…………はぁ」
気が抜ける奴が来たな、とため息一つ
佐藤 優子
「ふふん。大人の余裕って言ってほしいよね」
佐藤 優子
「あ、もしかして同い年だと思ってた?」
佐藤 優子
「いいのかな!?そんなこと言って!私とお話できなくなっちゃうぞ!」
伊藤 晶
「話そうって言ったり話さないって言ったり……主張は一定であってくれせめて」
佐藤 優子
「乙女心ってやつは変わりやすいらしいぞ少年。このくらいは慣れてもらわなきゃなぁ~?」
佐藤 優子
軽口を叩きながら隣へ。あ、ちょっと離れやがったこの野郎
伊藤 晶
腕を組んで、じっと見つめる。
……腕を組んで相対するのは、心理学的には警戒の現れ。
佐藤 優子
「もうちょっとこうさ~!雰囲気とかないのかなこの子は!」
佐藤 優子
「そんなんじゃガールフレンドどころか友達もできないぞ」
佐藤 優子
「うっそだぁ!欲しいでしょ!友達も!恋人も!」
伊藤 晶
「その言い草、”お姉さん”より”おばさん”っぽいぞ」
伊藤 晶
「そもそも幾つなんだ……」
ぺいって手を払う
佐藤 優子
「…心はずっと16歳だよ」それはいけない少年よ
佐藤 優子
「って私のことはいいの!ね、学校の話聞かせて!青春!アオハル!聞きたいな!」
佐藤 優子
「どんな部活に入ってるの?好きな教科とかある?」
佐藤 優子
「いやいや男にも大切だよ!可愛いは正義だよ!」
佐藤 優子
「ウェウェくんを見なよ!可愛いでしょ!」
伊藤 晶
「頭が足りてないじゃなくて頭が悪い方だったか、今まで悪かったな」
佐藤 優子
「そんなに言うなら晶くんは頭いいのかな!?赤点取ったこととかないのかな!!」
伊藤 晶
「逆にどうやったら取れるんだ赤点なんて」
伊藤 晶
「…………いい子、じゃ、ない。普通だって、言ってるだろ」
佐藤 優子
「いやいやいや!?だって勉強してるってことでしょ!?偉くない!?!」
佐藤 優子
「しかもピアノもできるんでしょ!?すごくない!?」
伊藤 晶
「普通で、当たり前で、だから、だから……」
佐藤 優子
「晶くんってまだ学生でしょ?絶対中高生だし」
佐藤 優子
「それができるってことは何だってできるんだから」
佐藤 優子
「そう!しかもまだ若い!可能性の塊ってやつ?」
伊藤 晶
「なぁ、わかったような口を聞くのは楽しいか?」
伊藤 晶
「現実を知らないで、ふわふわした理想みたいなものをみて、好き勝手騒ぐのは楽しいか?」
伊藤 晶
「だから分かってないって言ってるんだよ」
伊藤 晶
「生まれた時からレールが敷かれてる気持ちなんてわからないんだろうな。お気楽に生きて、お気楽に育って、なんでも好きな事やれたんだろ?」
伊藤 晶
「だから他人に対してだって、分かったような口ぶりでそういうことを言えるんだ。違うか?」
佐藤 優子
「っていうか晶くんめちゃめちゃ私のこと知ってるじゃん」
佐藤 優子
「まぁコンプレックスなんだけどね!失礼だなぁ!!」
佐藤 優子
「そんなに言うならこっちからも言わせてもらうけどさぁ!レールがあるのってちょっと羨ましたったりするんだぞ!漠然と生きてよく分からない不安を抱えてって大人はいっぱいいるんだぞ!」
佐藤 優子
「でも晶くんはすっごい自分を持ってるから私は凄く凄いと思います!」
伊藤 晶
「なぁ、うらやましいんだろ?かわってくれよ、かわれるもんなら」
佐藤 優子
「そりゃね、変われるものなら変わりたいよ」
佐藤 優子
「でも私は晃くんが言う通りばかですし?」
佐藤 優子
「でも能天気には能天気なりのよさがあるもーん!って割り切って生きてきたんだよ」
佐藤 優子
「手札って決められてるかもしれないけどさ」
佐藤 優子
「それを生かすも殺すも自分次第なんだよね」
佐藤 優子
*晶くんの心の疵《得意なこと》を愛で舐めます!
唖哩吮P
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
唖哩吮P
2d6+0=>7 判定(+猟奇) (2D6+0>=7) > 6[2,4]+0 > 6 > 失敗
[ 伊藤 晶 ] 得意なこと(優子) : 0 → 1
佐藤 優子
2d6+3=>7 判定(+愛) (2D6+3>=7) > 5[2,3]+3 > 8 > 成功
佐藤 優子
「まるで演奏してるみたいでさ、こう、命がけの場所でこんなこと言うのもダメかなって思ってたんだけど」
佐藤 優子
「すごくカッコよくてキラキラしてたよ!」
伊藤 晶
「…………はぁーーーーーーーー」
特大のため息
伊藤 晶
「別に格好良くなんてないしていうかあれに関しては無我夢中過ぎて技巧も何もない不格好なものでほんと言及されるの腹立たしいしそういう所がデリカシー無いっていうんだよな分かる?」
佐藤 優子
「亡者って魔物?も出るらしいしさ、私だけじゃどうにもならない世界に来ちゃったなーって思ってたんだよね」
佐藤 優子
「だからさ、これからも期待してるよ!」
GM
からからの種を、そっと運ぶこともあるだろう。
伊藤 晶
*ウェウェの傷を舐める。シーンはシーン表使用。
ウェウェ
小柄な種族のウェウェにとって、人間用の椅子は少し大きい。
ウェウェ
歌はない。ただ、使い慣れた小さなハープに似た音をいくらか。
伊藤 晶
階段を下って、ふと音に気が付く。
ぽろぽろと、零れるような音。聞き覚えのない弦の音。
伊藤 晶
……音が止まった事に気が付いて、足を止める。
伊藤 晶
けれど次の瞬間には、何もなかったようにまた歩き出した。
伊藤 晶
「…………」
見知った顔を目に止めて、少し躊躇して、それから
ウェウェ
「……聞こえてたなら誤魔化すなよ。ハズいだろ」
伊藤 晶
「……別に。踏み込まれたくないこともあるだろ」
ウェウェ
「や、無神経なのはオレもなんだよなァ……」
伊藤 晶
「いや……あいついないからいいか」
周囲をちょっと見回してから
伊藤 晶
「無神経を無神経だと、理解できてるだけマシだろう」
伊藤 晶
「言わないとわからん馬鹿に言葉を飾ってやるやさしさは無いものでな」
ウェウェ
「あ~、その話し方、昔のダチにそっくり」
ウェウェ
「偏屈な魔術師《ソーサラー》。学院育ちのお坊ちゃんでさ」
ウェウェ
「”全く、これだから粗野なグラスランナーは!”」
ウェウェ
「そりゃ、一緒に命懸けて世界救ったからな」
伊藤 晶
「少なくとも、きっと……ソーサラー、だったか?そいつは、悪くは思ってなかったんじゃないか。あぁいう言い方はな、本当に嫌いな奴にはしないだろうから」
伊藤 晶
「……まぁ、何にも知らない外野が何を言ってるんだ、って話だろうけど」
ウェウェ
「いいんだよあいつがホントはどう思ってたかとかは!」
伊藤 晶
「わからない、じゃないか。元の世界に戻れたら、また会えるんじゃ……」
伊藤 晶
「……ところで、”人間って”ということは……お前は人間では……?」
ないのか……?という疑問の顔。
そういえば種族とか聞いてないんですよ
ウェウェ
「にゃはは!謝んなよ。別に大したことじゃねえ」
ウェウェ
「オレ?オレは草駆ける者《グラスランナー》だよ。見りゃ分か……分かんねえのか」
ウェウェ
「オレらにとっちゃ人間ってのはお前らみたいな背ばっか高くて器用貧乏の奴らのこと」
ウェウェ
「お前らのとこにゃいないのか。グラスランナー。エルフは?」
伊藤 晶
「知的生命体、という意味では……人間のみか……?イルカやタコ、カラスは人間の子供と同程度の知能はあるらしいが」
ウェウェ
「同程度の知能って話になるならゴブリンだのオークだのもそういう扱いになっちまうからなあ」
伊藤 晶
「ごぶ、………うん、色々いるんだな……?」
ウェウェ
「むしろいねえってのが信じらんねえわ。世界ってな広いんだな」
ウェウェ
「……ぜーんぶ旅したつもりだったんだけどなあ」
ウェウェ
ここで歌のひとつでも始めたところだった。
ウェウェ
血湧き肉踊る冒険の歌。世界のうつくしさを喜ぶ歌。
ウェウェ
今は自然と腰のハープを手前に持ってきたところで、苦く笑うばかりだ。
ウェウェ
晶の目にはきっとお粗末なつくりの弦楽器。
伊藤 晶
「うらやましい、んだろうか。……僕には、これしかないからな」
ちら、と自分の手を見る為に視線を落として、ふとウェウェの持つ楽器が目に入った。
伊藤 晶
「そういえば……さっきのは、それで?」
楽器を指差して尋ねる。なんてことない、ただの好奇心。
ウェウェ
「ん。まあな。最近じゃめっきり弾くこともなかったんだが……」
ウェウェ
指が動く。ぽろぽろと、先程と同じ音が鳴る。
ウェウェ
あ、と口を開いて見せる。舌の根、焼け爛れたような、それでいて人工的な模様。
ウェウェ
見る者が見ればそれは”呪い”だとわかるだろうが――それと分からずとも、傷であることは確かだ。
ウェウェ
「やんなっちまうねえ、都合の良いときゃ危ねえ橋渡らせて、渡って見せたらそれを恐ろしいって」
ウェウェ
「こんなもん渡れる奴はまともじゃねえってさ」
伊藤 晶
「それは……おかしくないか……?どうして、そんな」
ウェウェ
肩を竦めて首を傾げる。それは、わからない、というよりは諦めの仕草。
伊藤 晶
「……なぁ、どうしてそれで、笑っていられるんだ?」
伊藤 晶
「お前にとって、大切なものだったろう、それは」
ウェウェ
子供のように唇をつぐんで、ぽろぽろと弦を鳴らす。言葉を探すように。
ウェウェ
「別に笑いたくて笑ってるつもりはねえなあ」
ウェウェ
「でも、まあ……なんだ。オレにとっちゃ、老後はこいつを弾いて、歌って……一緒に旅した奴らのこと、歌ってやるのが夢だったが」
ウェウェ
「それができなくなっても、あの冒険が確かにあったことは変わんねえから……」
伊藤 晶
「ひとつ、聞くが。歌えない、というのは……それは、その。歌ったら死んでしまうとか、そういう類、なのか?」
伊藤 晶
*ウェウェの心の疵《語らぬ語り手》を才覚で舐めます。
唖哩吮P
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
唖哩吮P
2d6+3=>7 判定(+才覚) (2D6+3>=7) > 7[3,4]+3 > 10 > 成功
伊藤 晶
2d6+3+2-5=>7 判定(+才覚) (2D6+3+2-5>=7) > 9[3,6]+3+2-5 > 9 > 成功
[ ウェウェ ] 語らぬ語り手(晶) : 0 → 1
伊藤 晶
「知らない土地の歌に興味がある。そしてそれ以上に、お前の歌を聞きたい」
ウェウェ
「あのな。この声でわかんだろ。まともに歌えねえの」
伊藤 晶
「その声で良い、と言ってるのが分からないか?」
ウェウェ
そろそろ迷惑そうな顔になりつつある店主がひとりいるばかり。
ウェウェ
そうしてたっぷり気を持たせてから、やがて観念して歌い出す。
それは歌というにはあまりに金切りで。音というにはあまりに歪んでいる。
聞いていて心地の良いものでは、決してない。
ウェウェ
数フレーズで恥ずかしくなって、飲み込んで。
ウェウェ
「てめえもちった音楽やるならわかるだろうが!」
伊藤 晶
「まぁ、それはそうだけど。でも、それで終わりじゃないんだろう」
ウェウェ
たった数フレーズ。物語のほんのはじめの節。
ウェウェ
飲み込んでしまえば歌うものはない。――聞き手はここにあるのに?
ウェウェ
「お前意外と……なんつうか……厚かましいとこあるんだな……」
伊藤 晶
「厚かましいとは失礼な。勉強熱心とか、そういう風に言って欲しい」
唖哩吮P
「すっくないけど、まあこんなもんだよね」
小山内 廻
「出発はお昼前ですから、それまでに決めてくれるでしょう」
GM
そうして、しばらく滞在した村に別れを告げる。
佐藤 優子
「起きなさい寝坊助共~!出発だよ!!」
おっきな声で寝てようが起きまいが起こします
ウェウェ
「う~~~~~るっせえクソ女!!!!!!!!!!!」
佐藤 優子
「起こしてあげたんだから感謝してよね!?ちょっと!!」
ウェウェ
「なんなんだよ!別に一緒に行く義理ァねえだろうが!」
伊藤 晶
「うわうるさ……」
外から部屋に入ってくる
佐藤 優子
「え??一緒に行くって約束したでしょ???」
ウェウェ
「し~~~ッてねえ~~~~~!!!!!!!!!!!!!!」
佐藤 優子
「お、晶くんは早起きだね~!ウェウェくん見習いな?」
佐藤 優子
「…もしかして夜遅かったから寝ぼけてたとか?」
佐藤 優子
「反対!!!反対におっきな一票!!!」
ウェウェ
「とにかく、オレぁあいつらと行くつもりはねえ!勝手に行け!」
伊藤 晶
「わがままなのはお前じゃないのか……?」
小声でぽつり
佐藤 優子
「絶対に多い方が良いよ?ねぇ?5人寄ればハイパー文殊の知恵だよ?」
伊藤 晶
「頭が悪そうなんだが」
ハイパー文殊の知恵に対して
佐藤 優子
「……ほんとに行かないの?ねぇってばぁ」
佐藤 優子
「……後悔しちゃうよ?もう会えないかもよ?」
伊藤 晶
「じゃあ逆に聞くが。どうしてそこまで一緒に行きたいんだ?」
佐藤 優子
「だってせっかく逢えた救世主仲間だよ!?あんなに仲良くなれたのに……」
佐藤 優子
「喧嘩するほど…的な……えっとぉ……」
ウェウェ
「お前を引き止めてるわけじゃねえだろうが」
唖哩吮P
空気を読まずに扉の外からひょっこり現れる。
唖哩吮P
「そんな化け物みたいに言わなくたっていいじゃん」
佐藤 優子
「あ!おはよ…こんにちは唖哩吮さん!」
ウェウェ
昨晩立ち入ったことを言ってしまった手前。
佐藤 優子
「……いいんだね?私ついて行っちゃうよ?」
佐藤 優子
「ばいばい!じゃあね!」あっかんべー!ってして先に階段を下りますギシギシ
唖哩吮P
「宿の人、しばらく泊めてくれるっていうけど」
伊藤 晶
「てつだい……」
何を手伝えばいいんだろう、という顔。
GM
そういうと、唖哩吮Pは優子を追って降りていく。
小山内 廻
「本当にいいんですか、置いてきてしまって」
佐藤 優子
「……私は要らないみたいだし」むっすー
唖哩吮P
「でも、無理についてきてって言うわけにもいかないしね」
GM
馬車の荷台に3人、それからそれぞれの少ない荷物と、御者台の男の交易品。
唖哩吮P
「次の街はね、なんか壁があるんだってさ」
佐藤 優子
「そういえばそんなお話してましたね。どのくらい大きい壁なんだろうなぁ…!」
小山内 廻
「優子さんは、テレビゲームはします?」
小山内 廻
「亡者、イメージ的にはファンタジーゲームの……」
小山内 廻
「トロールとかオークとか……あと、モンハンのモンスターとか……」
佐藤 優子
「へぇ~!ファンタジーって感じですね!」
唖哩吮P
「でも、ターン制とかじゃなくて待ったりしてくれないから」
佐藤 優子
「私たちも妖精?さんには会いました…けど確かに……結構好戦的だったからなぁ……」
唖哩吮P
「えっ、めっちゃみたい。ええ~……見たかったな……」
佐藤 優子
「ふふ、いつか見れるといいですね!……あ、でも会わない方が良いのかな?」
佐藤 優子
「何ていうか、唖哩吮さんがボケで廻さんがツッコミ的な…こう……漫才じゃないんですけど……」
佐藤 優子
「あ!あれです!仲良しの間の取り方的な!アレ!!」
佐藤 優子
「だから唖哩吮さんがアクセル全開したら廻さんがブレーキ踏むんだと思ってたんですけど」
佐藤 優子
「こちらこそよろしくお願いします!」にっこり
GM
隣の街まで距離はあるが、これまで滞在していた村は中継地。
GM
行き交う人々の中には、ちょいと宿をのぞいては寂しそうにする人もいる。
ウェウェ
一周するのに1日もいらないような村だ。
装備でも整えようと思ったが、目ぼしいものは見つからなかった。
ウェウェ
そもそも所持金が心もとない。
いくらか持っていたガメルはここでは使えない。
伊藤 晶
「そう都合よく現れてくれるとも思えないが……」
伊藤 晶
「ところで、ここを拠点にしていくのか?それとも僕らも、どこか別の場所へ移るか」
飲み物とも呼びたくない、まずいなにかしらの液体をちびちびと舐める。
ウェウェ
「でも結構うようよしてんだろ。実際どうなの、おやじさん」
GM
「倒していただけるのもそうですし、捕まえていただいたりとか……」
ウェウェ
「なるほどね。となると、ここ拠点にしたって食うには困らねえんじゃねえの」
GM
「救世主様がとどまってくださるのは、大変助かります」
伊藤 晶
「正直移動するにしても行く宛てはないから、ここに居ていいとは思うが」
ウェウェ
「あいつらもなんだってあんな急いで出ていったんだか」
ウェウェ
尖った耳がそれを捉える。椅子から飛び降りて、腰の得物を両手に。
GM
そして、屋根の上の方からどん、という何かの落ちる音。
伊藤 晶
「…………!!」
身が竦む。
こんなところでこんなもの、音。
正体が分からなくったって、恐怖以外の感情を抱けない。
GM
その胴が震えて、もこりと何かが通り過ぎていく。
GM
しばらく、長い胴が横切って、刃を持つ尾が振られ
GM
奥から戻ってきた宿の主人が抱えているのは、小さな赤ん坊。
GM
「どうか……どうか、この子を……妻の、忘れ形見…で…」
ウェウェ
「うっせえな、ガキだけ連れて逃げれっか!」
ウェウェ
「っ……」此処に居ても押しつぶされるのは時間の問題だ。
ウェウェ
晶の腕を引いて、泣きわめく赤ん坊を横抱きに。
ウェウェ
「あいつら連れて戻ってくるからっ、死ぬなよクソがっ……」
GM
ふたりが宿を出て、見上げれば。屋根の上に巨大な蛇の胴。
GM
頭はすでに離れているが、身動ぎした重みで宿が潰れる。
ウェウェ
此処には、こういうときに人々を担いで逃げられる戦士《ファイター》はいない。
GM
周囲は血まみれ、いくつかの瓦礫の山が燃えている。
ウェウェ
自分だけの体重ならいざ知らず、男一人を引っ張って、赤ん坊を抱いては本来の疾さは出ない。
ウェウェ
瓦礫を越え、少しでも早くあのどでかい図体から逃げるしかない。
ウェウェ
街があるという――昼、馬車が向かった方角へ。
ウェウェ
振り返れない。振り返ってはいけない。立ち止まっては。
伊藤 晶
こんなに必死になって走ったのは生まれて初めてだ。
もつれ、ふらつき、それでも辛うじて転ぶことなく走り抜ける。
前しか見ない。
──前しか、見れない。
伊藤 晶
前を見て、走る。走る。走る。
見ないふりをすると己で選んだことすら、目を逸らして。
GM
「ちょっとまってくださいね、亡者馬が落ち着かなくて」
佐藤 優子
「なにが…起きてるんですか…あれ……」
唖哩吮P
「大丈夫、ちょっと見てくるだけだから!」
唖哩吮P
唖哩吮が手をかざすと、色鮮やかなキーボードが波打って道になる。
唖哩吮P
その上に飛び乗り、波乗りでもするかのようにするすると進んでいく。
佐藤 優子
「……ぁ」止める間もなく飛び出ていく唖哩吮さんを眺めてなにもできない
唖哩吮P
その向こうには、巨大な蛇が村を蹂躙する姿。
ウェウェ
向こうからやってくる影に、こちらも気づいていた。
伊藤 晶
「は、はっ……!ぅっ、」
げほごほと盛大にむせる。
急に走ったのだから身体がついてこない。
ウェウェ
晶を指す。それから、力の限り泣いている赤ん坊を差し出す。
ウェウェ
「……おまえ、それ、使えんなら、連れてけ」
ウェウェ
「呑気なこと言ってんな、オレらはまだ自分で走れるから」
伊藤 晶
ぜぇぜぇ言っているしなんなら言葉も出ないが、辛うじて頷いている。
走るだけの気力はあるようだ。
GM
鎌首をもたげた大蛇は村を囲うようにとぐろを巻いた。
唖哩吮P
「だって……誰か、助けられるかもって……ひとりでも」
伊藤 晶
「……?」
汗をぬぐい、顔を上げる。
まだ何も、気付いていない。
ウェウェ
「あいつならなんか、……出来んだろ多分!はやく連れてけ!」
唖哩吮P
「じゃあ、ふたりとも……先に行って待ってるから」
唖哩吮P
そうして、唖哩吮はキーボードの波に乗って先に戻っていく。
唖哩吮P
2d6>=7 (2D6>=7) > 5[1,4] > 5 > 失敗
佐藤 優子
2d6+3=>7 判定(+愛) (2D6+3>=7) > 4[2,2]+3 > 7 > 成功
GM
唖哩吮が馬車に戻った時、赤ん坊はすでに息をしていなかった。
佐藤 優子
「唖哩吮さん!?よかった…ってその、子…ぇ……」
佐藤 優子
(…できる。腕だって生えたんだから、このくらい)
佐藤 優子
(イメージ、して、赤ちゃんが息をするところを、泣き出すところを)
GM
冷たくなりかけていた赤子の身体に、熱が戻ってくる
伊藤 晶
もうだいぶよろよろとして、けれど確かに走ってきた。もう一生分走った気がする。
伊藤晶はインドア派なのだ。
伊藤 晶
そして馬車の近くで足を止めるなり、すぐ崩れ落ちた。
ウェウェ
途中何度か抱えて走るか悩んだが、結局自分で走らせた。
佐藤 優子
「無事だよ。ほら」泣いてるその子を見せて
ウェウェ
「……はやく街に行った方がいい。体勢整えて、戦えるやつ連れて……」
ウェウェ
「中継地なんだろ、”アレ”が居るのを知らねえやつがどんどん来たら、どんどんやべえことになる」
GM
夜は危険だが、此処にとどまるほうが危険かもしれない。
GM
高い壁に囲まれた街の門番は、馬車を快く迎え入れる。
GM
御者の男は亡者の襲撃を伝えるが、門番の男たちは
GM
憤ることも、怯えることも、奮い立つこともない。
GM
「その子は、この街で引き取り手を探しますよ」
ウェウェ
戻ってくるから、と言った手前、渡していいものか一瞬の躊躇がある。
ウェウェ
それは、宿が目の前で押しつぶされていたとしても同じこと。
ウェウェ
それでも赤ん坊を預かった手前はそうあるべきだと、頷く。
佐藤 優子
「…よろしくお願いします」ウェウェくんの頷きを見て赤子を渡します
ウェウェ
唖哩吮と廻を見る……が、先の反応を見るに赤ん坊がいることも知らなかったのだろう。
GM
到着した街で、救世主たちはふたてに分かれることにした。
GM
大きく開かれた扉のうちには、ワインの樽と穀物の袋が積み上がっている。
GM
入り口のところに白ウサギの管理人がいて、訪れる商人たちと話し、必要な分の穀物を配る。
ウェウェ
「取引してんだろ。並んでんのは商人《マーチャント》ども」
伊藤 晶
「そうだな。……ここは、随分平和そうだ」
佐藤 優子
「…聞いておこうかな。他人事じゃないんだし」
伊藤 晶
「お前達が出発してから少ししてだ」
という感じでかくかくしかじかだ。
佐藤 優子
「だからあんなにぜぇはぁ言って走ってたんだね…とりあえずはお疲れ様」
佐藤 優子
「ふふ、ウェウェくんは意外とスポーツマンなんだね」
ウェウェ
「スポーツってか、死にもの狂いで走ってアレで平均なのはやべーだろ」
ウェウェ
「……あんなのがウヨウヨしてるたあ、思ったよりもやべえな、この世界は」
伊藤 晶
「アレは、僕らがどうにか出来るようなものなんだろうか」
佐藤 優子
「分かんないけど…でもここの人達が戦えるとは思わないな……」
ウェウェ
「戦えないやつ大勢連れて行っても、餌になるだけだな」
佐藤 優子
「……たつと、思う…よ……」だんだん目を逸らして
伊藤 晶
「だいぶ、かどうかは置いておくにしても、やれることはあるだろう。ほら、……」
伊藤 晶
「誰かを治療するという事は、誰にでも出来る事じゃない」
ウェウェ
あのとき、自分たちと共にこの女が村にいてくれれば、と。
ウェウェ
そうであれば助けられたのは一人ではなかったかもしれない。
ウェウェ
……だが、過ぎたことだ。口を噤んで頷く。
佐藤 優子
「二人に素直に褒められるのなんかこう…変な感じがするって言うか……」
佐藤 優子
「……変なところ打った?たんこぶとかできてる?大丈夫?」
伊藤 晶
「出来る事があるくせに、自信なく振舞うのは見ていて腹が立つ。すぐにやめろ」
佐藤 優子
「どうしたの本当に?変なものでも食べた?」
伊藤 晶
「言っておくが主旨は”腹が立つ”だ。一ミリも褒めてない。勘違いするんじゃないぞ」
伊藤 晶
「価値がないものが不当に持ち上げられるのも、価値があるものが不当に捨て去られるのも、どちらも許せないっていう話だ」
伊藤 晶
「褒めてない」
指差された手をぺちんと叩き落しつつ
ウェウェ
「いや、その理屈でいうと”出来ることがあって”、”価値があるもの”なんだろ、こいつが」
ウェウェ
「遠回しに言うとわかんねえぞこのバカは」
伊藤 晶
「そうだ。事実を連ねることが褒めることになるのか?」
佐藤 優子
「まーいっかぁ!ありがとうね。うん。素直に嬉しいや。あとちょっと恥ずかしい」
伊藤 晶
「馬鹿で脳が足りてなくて空気が読めないし我儘ばかりの傲慢な女。でも僕に出来ないことが出来る奴」
伊藤 晶
*佐藤優子の心の疵《憧れ》を才覚で舐めたくn舐めます。
唖哩吮P
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
唖哩吮P
2d6+0=>7 判定(+愛) (2D6+0>=7) > 5[4,1]+0 > 5 > 失敗
伊藤 晶
2d6+3=>7 判定(+才覚) (2D6+3>=7) > 5[4,1]+3 > 8 > 成功
佐藤 優子
「なんて言うか、晶くんっていい意味でも悪い意味でも嘘つかないなーって思ってるからさ」
佐藤 優子
「へへへ!その言葉、絶対にずっと覚えてるからね!ありがとっ!」
伊藤 晶
「……調子に乗らせてしまったかもしれない」
伊藤 晶
「忘れていいぞ。寧ろ忘れろ。即刻忘れろ」
佐藤 優子
「みんな違ってみんないいってやつだね!うんうん!」
ウェウェ
「……ま、このトロバカ女があの赤ん坊を助けたのは、紛れもない事実だわな」
佐藤 優子
「私も晶くんとウェウェくんのことすごいなっておもってるし好きだよ~!」
伊藤 晶
「……好きって言葉がここまで気持ち悪く聞こえるとは思わなかった……」
ウェウェ
「う~ん、素直に感謝してやりたいとこだったが気持ちが失せた」
伊藤 晶
「人の気持ちを逆撫でするのにかけては天才的だな……」
佐藤 優子
「…それも才能だよっていう褒め……?」
GM
ただひとりで生きることの難しさが、視野を広げていく。
GM
認め合うことは、きっと、手を伸ばす理由にもなる。
GM
というのも、しばらく他に救世主は泊まっていないらしかった。
GM
そこそこの広さと、ちょっとした段差と、ベンチがある。
GM
末裔の子供が遊んでいるそばで、唖哩吮Pはベンチに腰掛け、紙に何かを書き記していた。
ウェウェ
二人と別れて情報収集へ出たはいいものの、落ち着かない。
ウェウェ
そこへ唖哩吮を見つけて、わずかに逡巡する。
唖哩吮P
「俺はね、今新しい歌を書こうと思ってさ」
ウェウェ
「あいつらとおんなじようなとこから来たんなら、もうちょっと凹んでんのかと思ったが」
唖哩吮P
「……そんな事って思うかもしれないけど」
ウェウェ
「それになんにも感じなくなっちまったらそれこそ化け物だ」
唖哩吮P
「ここに暮らしてる人たちの気持ちってまだよくわからなくて」
唖哩吮P
「……ここの人たち、どんな歌を歌ったら喜ぶかなって」
ウェウェ
なにか得心したように手を打つ。そうして、唖哩吮の顔を下から見る。
唖哩吮P
「なんか、勇気づけられるような……さぁ」
ウェウェ
「難しいこと考えなくてもそのまま歌えばいいんだよ」
ウェウェ
「おまえらの世界じゃどうだか知らねえけど」
ウェウェ
「冒険譚ってのはそれだけで歌になるし、聞くやつは喜ぶもんだよ」
唖哩吮P
「『難しいこと考えなくてもそのまま歌えばいいんだよ』ってだって、完全に師匠的なにかじゃん?」
ウェウェ
”歌わなくていい”という言葉がひどく胸を締め付ける。
唖哩吮P
「文字、違うかな……じゃ、話して聞かせてくれるだけでもいいし」
唖哩吮P
*ウェウェの疵『語らぬ語り手』を才覚で抉ります
佐藤 優子
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
佐藤 優子
2d6+3=>7 判定(+愛) (2D6+3>=7) > 7[6,1]+3 > 10 > 成功
唖哩吮P
2d6+3+2-4=>7 判定(+才覚) (2D6+3+2-4>=7) > 9[5,4]+3+2-4 > 10 > 成功
[ ウェウェ ] 語らぬ語り手(晶,P) : 1 → 0
ウェウェ
咄嗟に嫌だ、とは言えなかった。
それは自分の喉に残る、”吟遊詩人”としての微かな矜持がそうさせた。
ウェウェ
咄嗟にやる、とも言えなかった。
それは自分の胸に残る、”語らぬ語り手”としての諦めがそうさせた。
唖哩吮P
「俺は別に……だって、カバーとかするし」
唖哩吮P
「もしかして、『呪われた時みたいな音』、じゃ……」
ウェウェ
なんでもない冗談のように笑って、言っているつもりだ。
ウェウェ
「お前がそれでいいなら、協力してやらんこともないよ」
ウェウェ
アキラに歌って聞かせたのだって。あんなひどい歌ではもう。
ウェウェ
「……ま、この国の奴らがお気に召すかは知らねえけど」
ウェウェ
歌えるやつが、歌いたいやつが、歌って、人を喜ばせられるやつが。
GM
唖哩吮たちの確保した宿は、街にふたつある宿のひとつ。
GM
前の村のものよりも多少マシな広さで、ベッドもちょっとだけ大きい。
ウェウェ
そのベッドに腰をかけて、ぼんやりと弦を鳴らす。
ウェウェ
自分の歌は、自分のためにつくってきた。
人のために作曲したことなどない。
ウェウェ
首を捻り、ひとつ、ふたつ。
何をやっているんだか、と思いながら――
佐藤 優子
晶くんもウェウェくんも仲良くなれて良かったなぁ。あんな風に思ってくれてたなんて…へへへ~!
佐藤 優子
足取りは軽く。鼻歌を歌いながら勢いよくとびらを開けた
ウェウェ
「――ッノックくらいしろクソ女ァ”!!」
佐藤 優子
「わっ!?ふふ、ウェウェくんはいっつも元気だねぇ。関心関心」
佐藤 優子
「あとここ、皆の部屋なんだよ?自分のお部屋ノックしなくない…ってあれ?それってもしかして……!」
ウェウェ
「テメェいい加減にしろ!天然ボケ気取ってられんのも今のうちだぞ今すぐ表出ろコ”ラ”ァ!」
ウェウェ
更になにか投げようと思ったが、あいにくモノがない。
手にしていた楽器を咄嗟にマントの下に隠した。
ウェウェ
今更遅いことは、もう充分わかっていたけれど。
佐藤 優子
ウェウェくんの手元を見てわぁ!と声を出す。
隠されたのは少し疑問だが…まぁそういう年頃?なんだろうなぁ。
佐藤 優子
「ね、もしかして今のってウェウェくんの楽器?」
佐藤 優子
「すごいねぇ弦楽器?見たいだったけどそんな年で弾けるんだ~!ねぇ、私聴いてみたいなぁ~」
佐藤 優子
「あ、そういえばそのお洋服もよく見たらっぽいよね?やっぱり唖哩吮さんといい、音楽家って見た目もこだわる人が多いの?」
佐藤 優子
「あと私達より耳がおっきいからすっごく音拾えるイメージなんだけども実際はどうなの?ね~しりたいなぁ~~」
ウェウェ
ベッドから降りる、飛びかかる、床に引き倒す。
――冷たい刃の感触がその首にある。
佐藤 優子
咄嗟のことに身体も思考もついていかない。
そもそもこんな風に明確に誰かに殺意を向けられたことなんて─
ウェウェ
「この期に及んでよくそんな脳天気な声が出るな」
ウェウェ
「いつまでそんなトボケた面してるつもりだ?」
佐藤 優子
ビクリ、と身体が反応したのは反射だろう
ウェウェ
喉に当てるナイフには刃渡りこそないが、女の首を掻き切るくらいならば造作もない。
ウェウェ
現に一度、あの妖精に突き立てたのを目にしているだろう。
この”男”は、刃物を人に向けて振るうことに躊躇はない。
佐藤 優子
でもだってウェウェくんだよ?
あの元気で年不相応に落ち着いていると思ったら大声で叫んでる変な子
佐藤 優子
そんな子が今、明確にこちらに「殺意」を向けている
佐藤 優子
「なんで、そんなに怒ってる……の…………」
ウェウェ
「わかんねえのか?頭ン中オガクズでも詰まってんのか?」
ウェウェ
「オレのこと馬鹿にしてるだろ。まあヒューマンってやつはそんなもんだ」
ウェウェ
「年?今年で80は超えたな。てめえがいくつかは知らねえが、よっぽど年上だろうがよ。」
ウェウェ
「オレらは生まれつき”こう”だ。てめえらヒューマンが”そう”なのと同じでな」
ウェウェ
「人がイラついてるときにズカズカ踏み込んできてギャーギャー騒いで、キレられねえと思ったのか?」
ウェウェ
「オハナバタケみてえなトコで育ったんだな。舐めんなよ人を」
佐藤 優子
何か言おうと口を開けてはくはくと息が漏れる
佐藤 優子
「そんな、こと私、何にも聞いてないもん!」
佐藤 優子
「っていうか怒ったから脅すって蛮族じゃないんだからさ!」
佐藤 優子
「言ってくれなかったじゃんそんなこと!」
佐藤 優子
「そんな、そんなに嫌なら話しなさいよ!」
ウェウェ
言わなくても分かれや、そのくらい。と……言おうとして。
わからない、と言う優子の顔を見下ろす。
ウェウェ
白い肌。筋肉のない細い腕。旅なんかには少しも向いていないだろう服。
多少砂埃に汚れてはいるが、元は手入れされていたのだろう髪。
ウェウェ
文字通りに、違う世界の生き物だ、ということから。
ウェウェ
目を背けていたのは自分のほうだということに、ようやく気づく。
ウェウェ
ならば、当然。わかるわけもないのだ。こちらの事情など。
ウェウェ
あまりにも弱くて、無知で、無力なだけのバカ女に。
何をムキになっているのかと虚しくなる。
ウェウェ
「相手がキレたら殺されるかもくらいの危機感持って行動しろ、バカ。
お前が育ったオハナバタケとは違うんだよ、この国は」
佐藤 優子
「…オハナバタケじゃなくて日本だもん」
ウェウェ
その身体の上から降りる。床に胡座を掻いて。
佐藤 優子
「戦争が起こらないように謝ったんだもん…」
佐藤 優子
「教えてほしいよ。もっとウェウェくんのこと」
佐藤 優子
*ウェウェくんの『忘れ得ぬ仲間たち』を愛で舐めます!
小山内 廻
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
小山内 廻
2d6+3=>7 判定(+才覚) (2D6+3>=7) > 3[2,1]+3 > 6 > 失敗
佐藤 優子
2d6+3=>7 判定(+愛) (2D6+3>=7) > 9[3,6]+3 > 12 > 成功
[ ウェウェ ] 忘れ得ぬ仲間たち(優) : 0 → 1
ウェウェ
「なんか……思ってたより肝据わってんだな……」
ウェウェ
戦闘のせの字も知らないような女にナイフ向けたんだが……
ウェウェ
「似たやつ知ってるわ。そうか。お前もその類か……」
佐藤 優子
「あ、いやそんなだって私がそもそもよくないこと言ったんだし」
佐藤 優子
「あとその、蛮……嫌な言葉も言ってごめんなさい」
ウェウェ
「悪いと思ってんなら、もう良い。お前がバカってだけだし」
佐藤 優子
「80歳のおじいちゃんからしたら私なんて赤ちゃんだもん。バカじゃないもん」
佐藤 優子
「私の国では立派なおじいちゃんだもん!すっごい長生きしてる歳なんだよ!?」
ウェウェ
「そりゃたかだか100年くらいしか生きねえやつらはそうだろうがな!草原を駆ける者《グラスランナー》てな200年生きンだよ!」
ウェウェ
「その様子じゃ知らねえみてえだから一応教えといてやると銀飾る者《エルフ》なんかは500年生きるんだぞ」
ウェウェ
「そういう奴らもいるんだ。見た目で判断するのもやめな」
ウェウェ
「……わかんねえならちったあ教えてやるから」
ウェウェ
「とりあえずいちいちバカでけぇ声で騒ぐな」
ウェウェ
「あと年上なんだから敬え。崇めろ。オレがやめろって言ったらやめろ」
佐藤 優子
「じゃあこれからはウェウェくん、じゃなくてウェウェさん、かな?うーん?敬う……」頭の先からつま先までじっくり見て
佐藤 優子
あんまり分かってないけどまぁこれからわかっていけばいっかぁ
ウェウェ
「あと、お前と同じ癒やし手《ヒーラー》」
ウェウェ
「世間知らずで無知でバカでムカつく偽善者で……でもま、悪いやつじゃなかった」
ウェウェ
自分のこと。忘れ得ぬ仲間たちのこと。世界のこと。
ウェウェ
ほんの一端。元の世界ではもはや語られぬ叙事詩《ログ》。
ウェウェ
それを覚えている自分に、ほんの少しだけ安堵して。
佐藤 優子
まるで夢みたいなそのお話を最初は「知る」為に聞いて
佐藤 優子
思わず前のめりで、子どもの時に戻ったような感覚
佐藤 優子
一音、一音、その口から紡がれることばはまるで
GM
別の世界が、注がれているだけなのかもしれない。
GM
合わせて鳴るのは規則正しい微かな裏打ちと、オルガンの和音。
佐藤 優子
「セッションしてるのかな…!わぁ……!」
佐藤 優子
「ちょっと私隣のお部屋覗いてくるね!」
佐藤 優子
心躍る物語を聞いた後の謎の高揚が治まらなくてその気持ちのまま部屋を出る
佐藤 優子
「ごめんなさい。つい素敵なセッションが聞こえて…ってあれ?」
唖哩吮P
「いいよ、別に。ちょうど悩んでたとこだしね」
佐藤 優子
「悩み……?というか唖哩吮さん一人だけなんです?」
佐藤 優子
「てっきり廻さんも一緒なんだと思ってた」
唖哩吮P
「うん。曲に琴を取り入れられないかと思って思案中なんだ」
佐藤 優子
「琴!新曲は和風な感じなんですね~!わぁ!」
佐藤 優子
「それってやっぱり廻さんの影響とかなんですか?」
唖哩吮P
「うんうん。最近……っていって通じるかな」
唖哩吮P
「あるでしょ、和楽器で流行りの曲とか演奏するやつ」
佐藤 優子
「かっこいいですよね。三味線とか笛?とかもあって」
佐藤 優子
「そうなんですか?ちょっともったいないなぁ」
佐藤 優子
「あんな綺麗な演奏、絶対人気でるのに」
佐藤 優子
「勿論です!私初めて琴なんて聴いたけどびっくりしたんですよ!」
佐藤 優子
「あ、あと唖哩吮Pの曲も生で聴けたの感動したし!」
佐藤 優子
「天才って感じの二人が音楽を作ったらもう神曲間違いなしですよ!」
唖哩吮P
「優子ちゃんはさ、苦手なものとか、嫌いなものとかある?」
佐藤 優子
「え?うーん…そうですね?うーん……」
佐藤 優子
「虫は結構苦手かな…蜘蛛とか足がいっぱいあるやつ」
佐藤 優子
「ですねー…あの独特の形もわさわさ動くのも苦手っていうか嫌いです」
唖哩吮P
「じゃあさ、俺が明日突然蜘蛛になってたらどうする?」
佐藤 優子
「まずはびっくりします。もしかしたら悲鳴とか上げちゃうかも…?」
佐藤 優子
「でも唖哩吮さんが蜘蛛になったら青くてきれいな糸を出しそうですよね」
佐藤 優子
「んー…でもやっぱり蜘蛛は蜘蛛だしなぁ……ちょっと離れてお話するかもしれないです……」
唖哩吮P
「でも、その蜘蛛が俺かどうかわからなかったら……」
佐藤 優子
「し、しませんよ流石に!?だって仲間なんだから!」
佐藤 優子
「あれです!蜘蛛になっちゃった原因を探すとか!」
唖哩吮P
「たくさんの同じ蜘蛛の中にまぎれちゃったら?」
佐藤 優子
「どうにかこう…その中から、唖哩吮さんを探す方法を……」
佐藤 優子
「いやだって流石にそんな嫌いだなんて言えませんよ!?」
唖哩吮P
「俺の歌って結構、こう、人の見られたくない部分とか」
唖哩吮P
「それでも、知ってほしい部分みたいなものを描くことが多いんだけど」
唖哩吮P
「君みたいな子も、そういう部分ってあるのかなって」
唖哩吮P
「ほら、普段明るい人とか優しい人のほうが色々溜め込むって言うし」
佐藤 優子
「やだなぁ~!そんな買いかぶりすぎですって!」
佐藤 優子
「そんなのいっぱいありますよ!恥ずかしいこととか人に言えない悩みとか!」
唖哩吮P
「周りの人は、そういう風に……見てくれないんじゃない?」
佐藤 優子
「急にどうしたんですか?びっくりしちゃうなぁあはは…」
唖哩吮P
「優子ちゃんは殺したりしないし、なんとかもとに戻そうとするって言ってくれたけど」
唖哩吮P
「きっと、俺だってわからないんじゃないかな」
唖哩吮P
「君は、俺のこと仲間だって言ってくれるけど。俺の曲を好きだって言ってくれるけど」
唖哩吮P
「だってDTMなんて流しちゃえば誰が作ったかなんてわかんないし」
唖哩吮P
「俺が本物じゃないって言ったら、君は信じる?」
唖哩吮P
憧れているのは。目指しているのは。そう有りたいと願うものは。
唖哩吮P
コンパスは、昨日と逆の方を向いていない?
唖哩吮P
*佐藤 優子の疵『憧れ』を才覚で抉ります
ウェウェ
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
ウェウェ
2d6+3+2=>7 判定(+猟奇) (2D6+3+2>=7) > 8[6,2]+3+2 > 13 > 成功
唖哩吮P
2d6+3+2-1=>7 判定(+才覚) (2D6+3+2-1>=7) > 8[3,5]+3+2-1 > 12 > 成功
[ 佐藤 優子 ] 憧れ(晶,P) : 1 → 0
佐藤 優子
「……分かるわけ、ないじゃないですか」
佐藤 優子
「唖哩吮さんがそれを否定したらそんなの……」
唖哩吮P
「優子ちゃんの、困るところ見たかった……っていうのは半分冗談で」
唖哩吮P
「曲のサムネとか、チャンネルの顔アイコンじゃなくて」
佐藤 優子
ハッとして顔を上げて唖哩吮さんと目が合って、すぐに逸らしてしまう
佐藤 優子
目が泳ぐ。言い返せない。背中に変な汗が伝う
唖哩吮P
「無理しない方がいいって、言えないんだよね、本当は」
佐藤 優子
視界に唖哩吮さんが映り込んでぎょっとする
佐藤 優子
「そんなまるで「自信ない」みたいなこと言わないで下さいよ」
唖哩吮P
ぽんぽん、と。すれ違いざまに肩を軽く叩いて
佐藤 優子
それを見送る…というか、そこから動けないまま
佐藤 優子
ぐるぐると気持ち悪いのに言われた言葉を考えてしまって
佐藤 優子
好き、だよね…と、それを言葉にできたか自分でもわからなかった
GM
昨晩のうちに片付けられたテーブルに、ちょっと埃の残った椅子。
ウェウェ
部屋にいてはひとりの時間が取れない。
結局村にいたときと同じように階下へ降りることになる。
ウェウェ
村にあったそれよりも幾分広く、幾分は手入れされていて、
ウェウェ
その隅のテーブルを陣取って、ひとり。
足をぶらぶらさせながら弦を爪弾く。つい先日の夜明けと同じように。
ウェウェ
テーブルには紙とペン。ミミズののたくるような文字。
伊藤 晶
ふらりとした足取りで階段を下りてくる。
前の所より多少はマシだけど、それでもやはり寝心地は悪い。
伊藤 晶
今日も上手く寝つけなかった。
あくびをひとつ、そこでウェウェの姿を認めて、恥じるように顔を隠した。
ウェウェ
その足音はもう覚えた。今度は隠すこともない。
伊藤 晶
「あー……おはよう」
視られていなそう。よし。
伊藤 晶
「弾く、というか……それが普通、じゃないか?少なくとも、僕がやっているのはクラシックだから」
伊藤 晶
「何百年も前の人が作ったものを、連綿と繋いでる。そういう世界だ」
ウェウェ
「そりゃ”フツー”が違ぇんだろ。オレんとこじゃ珍しい」
ウェウェ
「いや、珍しくはないのかもしれんが、なんつうか。オレには縁遠い世界だったわけよ」
ウェウェ
「吟遊詩人《バード》にゃ”フツー”だよ」
伊藤 晶
「あ、あぁ」
ちょっと目を見開く。大きな声にびっくりした。
ウェウェ
「だぁら分かんねえの!人に曲作るって何だよ!?
そいつに聞かせる曲じゃなくて他人に弾かせるための曲て!」
ウェウェ
近づいてくるなら、テーブルの上の紙になにやら書きなぐった字列があるのがわかるだろう。
伊藤 晶
テーブルにそろそろと近付いて、様子を見る。
これが産みの苦しみというやつ……?
ひとつ首を傾げた。
伊藤 晶
「そんなに嫌なら聞いてやらなきゃいいのに。真面目すぎないか?」
ウェウェ
「この国の奴らの好みはオレのほうがわかりそうだってよ」
ウェウェ
「真面目真面目、ええそりゃあもう。大真面目ですとも。草原駆ける者《グラスランナー》ですから?」元の世界ならジョークである。
ウェウェ
「オレにだってプライドってもんがあんの。
……出来ねえっつうのは負けた気持ちになんだろが」
伊藤 晶
「……出来る出来ないは置いておいて、嫌だったら嫌だって、言っていいんじゃないか」
伊藤 晶
「お前だって、あいつらだって、弾くのも弾かないのも、自分で選べるんだから」
ウェウェ
「……まるで選べねえみてえな口ぶりだな」
ウェウェ
頬杖を突く。薄いワインをちびりと舐める。
伊藤 晶
「……親戚のうっとおしいおじさんみたいだ」
ウェウェ
「お、得意だぞそういうのは」グラスランナーの家族は規模がでけえからな。
ウェウェ
「吟遊稼業の端くれとしちゃ、別のジャンルの野郎に舐められるわけにもいかねえし。やる気はあんのよ」
ウェウェ
テーブルにごろりと頭をあずけてあなたの顔を窺う。
伊藤 晶
「……どうだろう。舐められるとか、考えたこともなかったかもな」
ウェウェ
「へえ?いなかったの、負けたくないやつとか」
伊藤 晶
「ううん……」
ちょっと記憶を遡ってみる。
伊藤 晶
「……いない、な。僕の身近では音楽をやってる男なんて少なかったし」
ウェウェ
「ほ~。なんつうか、お前の世界ってのも変わってんな」
ウェウェ
じ、と顔を見る。優子と同じ、白い肌。細い腕。……
ウェウェ
「そーゆう世界。暮らし?生活……みたいな」
伊藤 晶
「……どう、だろうか」
視線を落ち着きなくうろ、と泳がせる。
考えてもみなかった、という顔。
だってそれが、当たり前の生活だったから。
ウェウェ
「だってさ、ふつう……いや、あのトロバカは全然普通じゃなさそうだから置いとくして、お前みたいなやつがさ」
ウェウェ
「オレからしてもやべえなって思うようなトコ来て、それでも帰りてえって泣き言言うようなことがねえのはさ……。気になるわけよ、オレとしては」
ウェウェ
「それって、自分が居たトコに思うところがあったからじゃねえの」
伊藤 晶
「いや、はぐらかしたい訳じゃないんだ……よく、わからなくって」
伊藤 晶
「僕にとっては、あそこで……あの家にいるのが、当然だったから。いなくちゃいけなかったんだ」
伊藤 晶
「……でも、こうしてこんなところに来て。帰らなきゃいけないとは思うけど、帰りたいって強く思えない自分がいるのも、事実だ」
ウェウェ
「音楽だ~い好き!ってかんじじゃねえもんな~」
伊藤 晶
「……。………、嫌いな、わけでは……」
自分でもよく分からないまま口ごもる。
伊藤 晶
そもそも僕は音楽が好きなんだろうか。
そもそも僕は、音楽が嫌いなんだろうか。
わからない。なにもわからないまま、ここにいる。
ウェウェ
勉強熱心と言え、などと。
なんにせよ興味のある者からしか出ない台詞だろう。
ウェウェ
わかっている。好きだとか、嫌いだとか。
そういうもんだけじゃないことくらいは。
伊藤 晶
「……学ばなくては、という気持ちはある。やっぱり、上手くはなりたいし」
伊藤 晶
「好き、かどうかは……よく、わからない。そもそも、好きってどういうことだ?そのものに興味がある事?そのものが無くてはいられない状態?」
伊藤 晶
「好きだとか、嫌いだとか。そう判断する基準はなんなんだ。そう感じる事に、それを表すことに、どれだけの価値があるんだ」
ウェウェ
「別にそんな難しく考えてたわけじゃねえんだけど……」
ウェウェ
「おまえがフクザツな気持ちを抱えてるってこたわかったよ」
ウェウェ
「……でも、”嫌い”は否定するのに”好き”はそうじゃねえんだな」
ウェウェ
「まあ、なんだ。……別に好きじゃなくたって飯の種にゃなるからな」
ウェウェ
「技術の向上だって別に好きだからやるわけじゃねえし、必要に駆られることだってあらあなあ……」
ウェウェ
「そう思うと、確かに。好きだとか嫌いだとかになんの価値があんだかな」
伊藤 晶
「……物事の最終形は、結局の所、”やるのかやらないのか”だと、僕は思う」
伊藤 晶
「何かを想うことに価値はなくても、こちらがそう思っても。逆に価値があると思っても。行きつくところは結局二択に過ぎない」
伊藤 晶
「……それに、聞いてる人間の中には此方が一切考えていなかったことを勝手に受け取る奴もいたりするから」
伊藤 晶
「すべての物事に価値はない。等しく。……違うか」
ウェウェ
*晶の心の疵『嫌いなこと』を猟奇で舐めます。
小山内 廻
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
小山内 廻
2d6+3=>7 判定(+才覚) (2D6+3>=7) > 7[3,4]+3 > 10 > 成功
佐藤 優子
ティーセットをウェウェくんに渡します~!
ウェウェ
2d6+3+2-4=>7 判定(+猟奇) (2D6+3+2-4>=7) > 5[3,2]+3+2-4 > 6 > 失敗
小山内 廻
建物の外から、革の袋を抱えて廻が戻ってくる。
小山内 廻
「もしかして、お話の邪魔をしてしまいましたか?」
ウェウェ
「や、別に。……こいつが面白えからからかってただけ」
伊藤 晶
「……」
むっとした。かなりむっとした。あれだけ喋らせておいて!?
伊藤 晶
「…………そうだな。親戚のおじさんみたいなのに絡まれていた」
小山内 廻
中に入っているものをそこに並べていく。
小山内 廻
それは、酒場で使用する布の切れ端の新しいのや
小山内 廻
グラスの、おそらく直してもらったもの。
小山内 廻
一緒に取り出したリストと見比べている。
小山内 廻
「快く演奏させていただけることになったので、その……何か、お礼がしたくて」
ウェウェ
「……ああいうのを真面目っつ~んだよ」ひそひそ。
伊藤 晶
「……そうだな。僕が間違えていたかもしれん」
ひそひそ。
小山内 廻
「それに、本当は……私の音楽を気に入って……聴いてもらえるだけでも、嬉しいんです」
伊藤 晶
「いいんじゃないか。僕達は別に、とりとめのない話しかしてなかったし」
ウェウェ
「そうだな~。オレたち音楽だ~いすき!って話をな」
小山内 廻
「グランドピアノではなくて、オルガンみたいな……小さめのものなのですが」
伊藤 晶
「約束、だからな。現物を見せてくれるか」
伊藤 晶
何とはなしに、戻っていく後ろ姿を見つめる。
何故あの時、あんな事言ったんだろう。
何故ここに、あってしまったんだろう。
伊藤 晶
──なんて。ここに来たら離れられるとでも思っていたのだろうか。
くだらない。くだらない。全てがくだらない。
伊藤 晶
結局僕は弾くしかない。どこにいたって。なにをしようとしたって。僕にはそれしかない。
それしか、ないんだ。
伊藤 晶
すべてぐちゃぐちゃに丸めて、屑籠に捨てて。
鍵盤に向かい合うしかない。
これしか、僕には許されてない。
伊藤 晶
「……僕も部屋に戻る。そろそろあのアホ、起こさないと煩いだろ」
伊藤 晶
そんなつもりはないけれど、吐き捨てるように言葉を溢して、部屋に戻る。
ウェウェ
頭を掻いて、ひとりごちて。テーブルに撒いた紙を束ねる。
唖哩吮P
「そんなあからさまに嫌がらなくてもよくね?」
伊藤 晶
「あからさまに嫌がらなかったら蔭口みたいになるだろう。僕はそういうのは嫌いだ」
唖哩吮P
「まあ、その……ちょっとさぁ、話もしたかったし」
伊藤 晶
ため息をひとつ。しぶしぶ後をついていく。
GM
前の村よりも少し大きいが、並んでいるものはあまり変わらない。
GM
布に色がついてたり、ちょっとだけ質が良いものを売っていたり。
GM
唖哩吮が店主に話すと、倉庫前の通路へふたりは案内される。
GM
かつて、誰かが使っていた。
あるいは持ち込んだ古いピアノ。
唖哩吮P
「これかぁ~……埃被ってるけど、中は無事だといいな」
伊藤 晶
「……どうだろうな。埃やなんかが入ってるだけならマシだけど」
伊藤 晶
「弦がいかれてたらどうしようもないだろう」
唖哩吮P
古いタイプのそれを、どうにか開けてみる。
唖哩吮P
意外と中は無事で、もしかしたら『もともとこの世界にあった』ものではないのかもしれない。
唖哩吮P
救世主の力で出したものなら消えてしまうかもしれないが
唖哩吮P
『作ったもの』だとしたら、そんなこともあるかも。
伊藤 晶
「…………」
そもそもどんな動画だって然程検索しない、とは言い出しにくい。
伊藤 晶
「そう、だな?僕はそんなに詳しくはないが」
伊藤 晶
「周りの連中が言っているのは、実況がどうのとか、誰々Pがどうのとか、歌い手がどうのとか。そんな程度だったか」
伊藤 晶
「そもそも歌い手ってなんだ歌手なら歌手ってちゃんと言え……」
これはただのぼやき
唖哩吮P
「俺の音楽より廻のが好きっぽいじゃん?」
伊藤 晶
「そうだな。お前たちのどちらが、と言うなら彼の方だけれど」
伊藤 晶
「まぁお前のも、どちらかといえば好悪より聞き慣れない、という方に近いけど」
唖哩吮P
「再生数じゃない、とか。好き嫌いもだけどさ」
唖哩吮P
「知名度も、向上心も……プロモーションだって大事じゃん?」
伊藤 晶
「結局の所、巡りあわせじゃないのか。そういうのは」
伊藤 晶
「どれだけ知名度があったって、環境に恵まれなければお先真っ暗だし。逆にどんなに知名度がなくたって、偶然の出会いかなんかで引き立てられれば一躍有名人の仲間入りだろう」
伊藤 晶
「少なくとも、僕の両親はそうする気だし、僕もそれに抵抗する気はない」
唖哩吮P
「ソロステージ系とか、講師系とか、オーケストラに入るとかあるじゃん」
伊藤 晶
「ソロでやることになると思う。楽団に入るツテは無きに等しいからな」
唖哩吮P
「才能あるって言われて、賞もとって、ラジオとかもよばれてさ」
唖哩吮P
「でも、『知らない人』は誰もしらねーの」
伊藤 晶
「それは……悪いが、当然の話しじゃないか?」
伊藤 晶
「人間はそういうものだろう。自分の興味のあるものしか選択しない」
伊藤 晶
「僕だって、例えば料理の世界で誰もが知ってる有名なコックの名前をあげろ、とか言われても一人も答えられないし」
唖哩吮P
「でも、さ。優子ちゃんが知ってたように」
唖哩吮P
「そういうのだと、結構知ってる人いんだよね」
伊藤 晶
「どの層を狙うかのマーケティングの話しか?」
伊藤 晶
「流行りもの、は確かに母数が多いだろうけど」
唖哩吮P
「俺が心から愛するものを穢してしまうような気がして……」
唖哩吮P
「お前はさ、何のためにピアノ弾いてきた?」
唖哩吮P
「どんな曲が好きで、どう言う風に弾くのが得意なんだ?」
伊藤 晶
答えようとして、気が付く。
好きな曲なんてない。
得意なものなんてない。
だって僕は、言われた通りやっているだけだから。
伊藤 晶
あるのは両親の好みだけだ。
あるのは機械的に動く両手だけだ。
伊藤 晶
「……なん、だって、良いだろ。別に、それがお前達に干渉するわけじゃ、ない」
伊藤 晶
「彼は好きで琴を弾いてる。いいだろう。お前は美しいと思ったものを表現したいから弾いてる。それもいいだろう」
伊藤 晶
「……だから……僕がどう思っていたって、どうだっていい、はずだ」
唖哩吮P
「この指が、弦に触れたら……嫌われてしまう気がして」
唖哩吮P
「俺は、こんな音楽をするべきじゃなかったのかなって」
唖哩吮P
「才能を活かすとか、評価されるとか、得意だとか」
唖哩吮P
「馬鹿にされないだとか、人気ものになるだとか、音楽で食べていけるとか考えないで」
唖哩吮P
「ひとりきりになっても。真っ直ぐ、あの、美しい大和琴に……向き合ってたらよかったのかな……って」
唖哩吮P
*伊藤 晶の疵『得意なこと』を才覚で抉ります
佐藤 優子
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
佐藤 優子
2d6+3+2=>7 判定(+愛) (2D6+3+2>=7) > 4[1,3]+3+2 > 9 > 成功
唖哩吮P
2d6+3+2-6=>7 判定(+才覚) (2D6+3+2-6>=7) > 4[1,3]+3+2-6 > 3 > 失敗
唖哩吮P
「あれは、俺が作り出した『もうひとり』」
伊藤 晶
「好きなら、続けたいなら、どれだけ苦しんだって、今までのもの全て捨てたって、やり続けたらいい。逆に、それに耐えられないなら、辞めればいい。お前にはその自由がある」
伊藤 晶
「……僕は、生まれた時から決められているから」
伊藤 晶
「僕はこれ以外の生き方を知らない。何も。自分から知る気もない」
伊藤 晶
「突き詰めていけば諦観、なんだろうけど……僕は両親に、逆らえないから」
伊藤 晶
「この世界に両親がいなくたって、道を外れられない。そういう風に育てられた」
伊藤 晶
「でも、お前は違うんだろ。好きで、やってるんだろう。……やれているんだろう」
唖哩吮P
「『なんだってしていいんだよ』なんて、言わないよ」
伊藤 晶
「……結局の所、どこまで行ってもうらやましいんだと思う。お前の事が」
伊藤 晶
「好きな事をやれて……好きに生きる事が出来る。僕には無いものだから」
唖哩吮P
「『両親』のせいになんてしないで、お前も」
唖哩吮P
ぐっと戻ってきて、とん、と軽く胸を叩く。
伊藤 晶
「それが出来たら苦労してないんだよ。ばか」
GM
それは、お世辞にも綺麗とは言えなかったけれど。
唖哩吮P
殺せないよ。
あんな、悲しそうに歌う人を。
誰よりも歌いたい人を。
唖哩吮P
殺せないよ。
あんな、みんなに優しい人を。
愛されるべき人を。
唖哩吮P
殺せないよ。
あんな、未来のある人を。
まだ、本当の自分さえわからない人を。
GM
3人は、街から少し離れた見晴らしのいい空き地へと呼び出される。
小山内 廻
「俺さ、みんなに伝えないといけないことがあるんだ」
小山内 廻
「この世界で『唯一』になるための力なんだ」
小山内 廻
「殺し合い、最後のひとりになった救世主(アリス)は」
小山内 廻
「……もちろん、帰りたいからって俺は……人殺しになんてなりたくない」
小山内 廻
「みんながそう思ったら、殺し合いなんておきっこない」
小山内 廻
「この世界の末裔なら誰でも知っていることさ」
伊藤 晶
「バカみたいな、発言はしていたけど……こんな冗談を言うやつじゃ、ないだろ」
伊藤 晶
「……お前は、最初から”その”つもりだったのか。小山内廻」
小山内 廻
「俺はみんなより来るのが早かったからね」
小山内 廻
「俺が……唖哩吮Pこそが、小山内 廻だ」
佐藤 優子
「ここまで色々あったけどどうにかなったんだよ?死にそうになったり悲しいこともあったけどまだ生きてるんだよ?」
佐藤 優子
「まだ何か方法があるはずだって!まだ…まだどうにかなるって!」
ウェウェ
「だからこういうヤツってろくなことねえんだよ」
ウェウェ
「……トロバカ、お前今、そいつに殺すって言われてんだぞ」
佐藤 優子
「…でも!そうしたくないからこうやって話してくれてるんじゃん!」
伊藤 晶
「……じゃあ、そうやって諦めないで探して」
伊藤 晶
「化け物になるのを受け入れろって、そう言うの?」
佐藤 優子
「皆だって殺しあいなんてやりたくないでしょ!?」
ウェウェ
「……こいつの言ってることがホントかどうか分かるまで待つわけにゃいかねえだろ」
ウェウェ
「お前、あの化物直接見てねえからそんなコト言えるんだよ」
小山内 廻
「馬鹿だよねぇ、キレイ事ばっかり言っちゃってさ」
小山内 廻
「ひとりでついてきた時は、ラッキーって思ったけど」
小山内 廻
「まあ、そんな事言ってるようじゃ……」
GM
唖哩吮、小山内のまわりに3つのスピーカーが浮かびあがる。
小山内 廻
1d6+3+2 (1D6+3+2) > 3[3]+3+2 > 8
伊藤 晶
1d6+3+2 (1D6+3+2) > 5[5]+3+2 > 10
佐藤 優子
2d6+0=>7 判定(+猟奇) (2D6+0>=7) > 11[6,5]+0 > 11 > 成功
小山内 廻
2d6+3+1+3-5=>7 判定(+才覚+多彩な凶器) (2D6+3+1+3-5>=7) > 8[4,4]+3+1+3-5 > 10 > 成功
伊藤 晶
2d6+3+1+1=>10 判定(+才覚+万能+多彩な凶器) (2D6+3+1+1>=10) > 4[3,1]+3+1+1 > 9 > 失敗
伊藤 晶
裁判。正直、今だって訳が分からない。
でも、抵抗しないと殺される。
それだけははっきり分かる。理解できてしまう。
伊藤 晶
だから。だから、前妖精相手にやって見せたように、手を指を動かそうとして──
小山内 廻
かき消すような重低音と、視界を惑わす輝き。
伊藤 晶
──指が、止まる。
動かない。視界がちかちかと瞬く。
見えないから動かない?
違う。視えなくったって動けるはずだ。
音にかき消されて届かない?
違う。あの音を切り裂く高音を出せる筈だ。
伊藤 晶
……理由は1つしかない。
僕はまだ、覚悟が決まっていないんだ。
彼に敵対する覚悟。
彼を殺す覚悟。
──あるいは、彼に殺される覚悟。
伊藤 晶
聴こえない。聴こえない。
何も聞こえない。
ただ、彼の響かせる重低音だけが頭を支配する。
──遂に、指は動かなかった。
だらりと弛緩して、耳を塞いで、蹲る。
見て
2d6+1>=7 (2D6+1>=7) > 5[2,3]+1 > 6 > 失敗
聴いて
2d6+1>=7 (2D6+1>=7) > 10[6,4]+1 > 11 > 成功
聴いて
Choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》] (choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》]) > 《指切り》
GM
ウェウェは指切りの効果により、即座にカードを1枚捨ててください
教えて
2d6+1>=7 (2D6+1>=7) > 9[4,5]+1 > 10 > 成功
教えて
Choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》] (choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》]) > 《封印》
小山内 廻
すると、浮かび上がっていたスピーカーが飛び回り
聴いて
『聴いてほしい聴いてほしい聴いてほしい届いてほしい』
ウェウェ
一発は見切れた。手にしたスティレットの先で難なく弾く。
ウェウェ
音に脳を揺さぶられ、二発目に追いつけない。
伊藤 晶
──なにも。
何も口に出せない。何も言えない。
僕には彼に何かを言う資格がない。
ひたすらに目を瞑って蹲る。
自分の身に何が降りかかってくるか、考えもしないで。
伊藤 晶
だから、その 音/刃 にも気付けなかった。
伊藤 晶
理解できたのは体に痛みが走ってから。
攻撃されたのだ。
誰に?彼に。
殺意を向けられているのだ。
誰に?彼に。
教えて
『誰か君に教えてくれたか君のこと教えてくれなきゃわからない』
伊藤 晶
音で思考がまとまらない。
口に出せるほどの自分なんか存在しなくて自分はここにいるんだっていいたくて僕は親の理想でしかなくて僕は何もできなくて僕は僕は僕は──……
佐藤 優子
2d6+3+6=>7 判定(+愛) (2D6+3+6>=7) > 4[3,1]+3+6 > 13 > 成功
佐藤 優子
1d6+3 (1D6+3) > 2[2]+3 > 5
佐藤 優子
皆が戦ってる
皆が傷つけあってる
皆が苦しんでる
佐藤 優子
「やめようよ」なんてもうそんなこと言っても無駄なことはわかってるから
佐藤 優子
「なら、私は…皆が諦めない限り、立ちつづける限り…」
ウェウェ
「もうちょっとなんか……都合いい感じに治せ!!!」
伊藤 晶
痛い。鋭く切りつけられるのとは違う感覚。
馬鹿みたいに強引で押し付けがましい、あいつそっくりの痛み。
不覚にも、頭が冴えてきた。
伊藤 晶
「……何が”守る”だ、攻撃されたより痛かったんだが……!?」
佐藤 優子
「よぉし!二人とも元気だね!ならおっけい!クレームは受け付けてません!」
伊藤 晶
2d6+3+1+1+5=>7 判定(+才覚+万能+多彩な凶器) (2D6+3+1+1+5>=7) > 4[1,3]+3+1+1+5 > 14 > 成功
GM
*援護、本当は判定前だけど、今回はOKにします
小山内 廻
2d6+3+1+1=>16 判定(+才覚+多彩な凶器) (2D6+3+1+1>=16) > 5[2,3]+3+1+1 > 10 > 失敗
小山内 廻
*イカサマ『陣形』 『聴いて』でうけます
ウェウェ
2d6+3+2=>7 判定(+猟奇) (2D6+3+2>=7) > 10[5,5]+3+2 > 15 > 成功
ウェウェ
1d6+2+1+2+3+2+2 ダメージ+殺意+兇刃+鋭気+看破+援護 (1D6+2+1+2+3+2+2) > 4[4]+2+1+2+3+2+2 > 16
ウェウェ
痺れるような指先の痛みが、更なる痛みで一瞬塗りつぶされて、
その痛みが引いていく。傷が治る。
握り直したスティレットの柄の冷えているのがよく分かる。
ウェウェ
本当にただ化け物になりたくないのなら。ただ死にたくないのなら。
わざわざこんなところに呼び出す必要なんかひとつもない。
わざわざ自分が不利になるようなことをする必要なんか。
ウェウェ
寝首を掻くチャンスくらいいくらでもあった。
ウェウェ
「だからお前はバカだって言ってんだよ……ッ」
ウェウェ
身を低くして駆ける。握った刃先は違わず廻を狙って。
伊藤 晶
強く、指を空に──鍵盤に叩きつける。
先程の返礼のような、重く激しいprecipitand。
伊藤 晶
「なんだっけ。”ダメダメ、そんなんじゃ”?」
伊藤 晶
指は止めない。止まらない。
彼を押し流すように、音の波を生み続ける。
伊藤 晶
隙を見せた。見つけた!
それまでの重低音から一転、劈くような高い音。
不条理を拒否するagitato。
突き刺すような高音は空間を切り裂いて、耳へ、脳へ。
伊藤 晶
「……そう言えば、何が得意かって聞いたな」
伊藤 晶
「気付いたよ。僕、怒るのは──得意みたいだ」
ウェウェ
その一瞬を逃さない。小さな体は小回りが効く。
ウェウェ
「デカい口叩いてる割に、呆気ねえなあ!」
小山内 廻
悲鳴をあげるまもなく、切り裂かれた首から血が吹き出す。
小山内 廻
そのままドサリと倒れ、地面に赤が広がっていく。
小山内 廻
「俺が化け物になるところ、見たいのか?」
ウェウェ
「……もっとやり方ってもんが、あっただろが……!」
ウェウェ
*c3 hJ cA JOKER (d5)
伊藤 晶
2d6+3+1+1+6=>7 判定(+才覚+万能+多彩な凶器) (2D6+3+1+1+6>=7) > 9[3,6]+3+1+1+6 > 20 > 成功
小山内 廻
2d6+3+1=>16 判定(+才覚+多彩な凶器) (2D6+3+1>=16) > 12[6,6]+3+1 > 16 > 成功
小山内 廻
(2D6+3+1>=7) > 7[4,3]+3+1 > 11 > 成功
見て
2d6+1+2+3>=7 (2D6+1+2+3>=7) > 8[4,4]+1+2+3 > 14 > 成功
見て
Choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》] (choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》]) > 《猛毒》
佐藤 優子
2d6+3=>7 判定(+愛) (2D6+3>=7) > 6[5,1]+3 > 9 > 成功
聴いて
2d6+1+2>=7 (2D6+1+2>=7) > 7[4,3]+1+2 > 10 > 成功
聴いて
Choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》] (choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》]) > 《封印》
教えて
2d6+1+2>=7 (2D6+1+2>=7) > 9[3,6]+1+2 > 12 > 成功
教えて
Choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》] (choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》]) > 《指切り》
小山内 廻
ナイフが刺さった時はわけが分からなくて
ウェウェ
殺そうとした。殺しにかかられるのは覚悟の上だ。
伊藤 晶
あれはまずい。何故だか分からないけど、そう思った。
だからさっきみたいに邪魔してやろうとして、指を鍵盤へ叩きつけて。
会心の音が出たと、そう思ったのに──!
佐藤 優子
考えるよりも先に小さな身体を突き飛ばす
棘が容赦なく柔らかい肌にずぷりと刺さってあかくてあったかいものが広がった
ウェウェ
薄々と、気づいている。戦闘経験があるといえ、この国でそれはさほど大きなアドバンテージにはならない。
ウェウェ
救世主同士の戦いでものを言うのは、”心の疵を想う力”。
小山内 廻
2d6+3+1+6=>7 判定(+才覚+多彩な凶器) (2D6+3+1+6>=7) > 6[2,4]+3+1+6 > 16 > 成功
佐藤 優子
2d6+3+6=>7 判定(+愛) (2D6+3+6>=7) > 4[2,2]+3+6 > 13 > 成功
佐藤 優子
手を伸ばす
助けたい。救いたい。力になりたい
小山内 廻
スピーカーから流れる轟音が地面を揺らして集中を乱す。
ウェウェ
「はっ、これくらい、魔王の全体攻撃にくらべりゃ屁でもねえよ」
ウェウェ
「それよりゃお前、自分のことを心配してろよ……、」
ウェウェ
「いくら痛ぇっつっても、そのバカみたいな回復がなきゃキッツいんだからな……」
ウェウェ
2d6+3+2=>7 判定(+猟奇) (2D6+3+2>=7) > 6[3,3]+3+2 > 11 > 成功
ウェウェ
1d6+2+1+2+3+2+2 ダメージ+殺意+兇刃+鋭気+看破+援護 (1D6+2+1+2+3+2+2) > 6[6]+2+1+2+3+2+2 > 18
ウェウェ
優子の問いに薄く笑う。優しさはない、どちらかといえば獰猛さのある笑み。
ウェウェ
心の疵を想うちからが救世主の力を左右するというのなら。
ウェウェ
けれど手にしたスティレットの冷たさが、
もうそれは叶わないことを繰り返し、繰り返し。
ウェウェ
だからこの一太刀はきっと重いに違いないのだ。
ウェウェ
転がる。受け身を取って、体勢を立て直す。
佐藤 優子
2d6+0+2=>7 判定(+猟奇) (2D6+0+2>=7) > 7[2,5]+0+2 > 9 > 成功
小山内 廻
2d6+3+6-6=>7 判定(+才覚) (2D6+3+6-6>=7) > 6[3,3]+3+6-6 > 9 > 成功
見て
2d6+1+3>=7 (2D6+1+3>=7) > 9[4,5]+1+3 > 13 > 成功
見て
Choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》] (choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》]) > 《指切り》
聴いて
2d6+1+3>=7 (2D6+1+3>=7) > 6[1,5]+1+3 > 10 > 成功
聴いて
Choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》] (choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》]) > 《指切り》
佐藤 優子
2d6+3+4=>7 判定(+愛) (2D6+3+4>=7) > 6[1,5]+3+4 > 13 > 成功
教えて
2d6+1+3>=7 (2D6+1+3>=7) > 11[6,5]+1+3 > 15 > 成功
教えて
Choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》] (choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》]) > 《指切り》
ウェウェ
2d6+1-0 判決表 (2D6+1-0) > 10[4,6]+1-0 > 11
小山内 廻
身体の痛みは裁判が始まった時の状態に戻っている。
小山内 廻
両手を高くあげて、スピーカーたちの指揮をとる。
小山内 廻
一列に並んだスピーカーが、痛みのような音波を放つ。
ウェウェ
一発がもろに腹を捉え、小柄な身体が宙に投げ出される。
佐藤 優子
「っ負けないで!グラスランナー《草原を駆ける者》!」
ウェウェ
まじでばかだな、応援のつもりか、それ、。
ウェウェ
思わず小さくわらう、痛みが引き戻されるように蘇る。
ウェウェ
無様に地面に叩きつけられる寸前に、手でそれを押し返して。
ウェウェ
「オレだってまだ、こんなもんじゃくたばんねえよ」
ウェウェ
「おらトロバカ!さっさと治せ!このままじゃ唯一の火力が死ぬぞ!」
佐藤 優子
3d6 18出せ (3D6) > 12[4,3,5] > 12
佐藤 優子
そのボロボロで勇ましくかっこいい英雄を想像して
佐藤 優子
最早それは1から作り直しているのかもしれない。ウェウェくんの本来の細胞ではないのかもしれない
佐藤 優子
でも私が想像したあの物語の”英雄”をできるだけ正確にイメージして
佐藤 優子
燃えるように熱いだろう
氷のように刺さるだろう
佐藤 優子
引きちぎられるように再生される
知らない何かが勝手に身体を蝕む
佐藤 優子
そうして”英雄”はまた立ち上がらねばならないのだ
ウェウェ
痛みのあまりに、喉から呻き声が出る。嗄れて掠れてひび割れた。
それは、命潰えるまで歌いたかった”英雄”の。
自分が紡ぎ、愛した物語たちの断片。
ウェウェ
安い奇跡は起こらない。それは二度と歌にはならない。
ウェウェ
「だああ!もうちょっと優しい回復に出来ねえかなあ!?」
佐藤 優子
「手が足にならないように想像するの頑張ったんだよ!うん、上手くいった…はぁ……」
ウェウェ
「こええこと言うな!!!!!!!!!!!!!」
佐藤 優子
「ふふ!頼りにしてるよウェウェくん《英雄様》!」
ウェウェ
2d6+3=>7 判定(+猟奇) (2D6+3>=7) > 9[3,6]+3 > 12 > 成功
小山内 廻
2d6+3+1-3=>7 判定(+才覚+多彩な凶器) (2D6+3+1-3>=7) > 2[1,1]+3+1-3 > 3 > 失敗
伊藤 晶
2d6+3+1+1+3=>7 判定(+才覚+万能+多彩な凶器) (2D6+3+1+1+3>=7) > 6[3,3]+3+1+1+3 > 14 > 成功
ウェウェ
2d6+3+2=>7 判定(+猟奇) (2D6+3+2>=7) > 10[6,4]+3+2 > 15 > 成功
ウェウェ
1d6+2+1+2+3+2+2 ダメージ+殺意+兇刃+鋭気+看破+援護 (1D6+2+1+2+3+2+2) > 4[4]+2+1+2+3+2+2 > 16
小山内 廻
2d6+1-0 判決表 (2D6+1-0) > 5[3,2]+1-0 > 6
小山内 廻
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
小山内 廻
2d6+0=>7 判定(+猟奇) (2D6+0>=7) > 9[5,4]+0 > 9 > 成功
GM
6~8 ランダムな能力値で判定し、成功すればHPを1点回復して立ち上がる。失敗すれば〈昏倒〉する。
ウェウェ
死にかけた身体の痛みが上塗りされた上で引く。
まるで今まで受けた傷が嘘のようだ。
ウェウェ
軽くなった足で地を蹴り、廻の懐へと一足飛びに潜り込む。
ウェウェ
逆手に握ったスティレットで狙うは――胸。
小山内 廻
人を殺すのに、殺意なんていらないんだ。
小山内 廻
生きたいって思うだけで、こんなことができるんだ。
小山内 廻
そんな事しても、無意味だって、思っても……
伊藤 晶
化け物になるところを見たいのか、と問われて。
途端に指が動かなくなった。
今まで出来ていたことが出来なくなった。
何も、何もできないまま、彼の喉が裂かれるのも、ウェウェの体が宙に舞うのも、ただ眺めていただけ。
伊藤 晶
やりとりに手を出すことが出来なくて──それでも見ていたから、見つけてしまった。
彼の動揺。彼の隙。今、ここなら。
そう思って指を動かして、ふと、脳裏の過った思考。
伊藤 晶
──彼が、音を紡げなくなれば。僕達は、戦わなくて済むんじゃないか
伊藤 晶
思い直そうとして、でも一度思考に浮かんでしまったらダメだった。
ここは堕落の国。
心の力が、想いの力が、強さに繋がる世界。
伊藤 晶
それはつまり、無意識だろうとなんだろうと、思ったことがそのまま反映されてしまうということで──
伊藤 晶
は、と気が付いたときには、鍵盤蓋のような幻影が現れていた。
彼の指の近くに。ギロチン台のように。
小山内 廻
攻撃を払おうと伸ばした手に、その鍵盤蓋が。
小山内 廻
どこか現実味のない刺傷とはちがう、直接的な痛みに思わず声を上げた。
ウェウェ
その隙を逃さない。考える頭が止める前に、身体はずっと疾く動いた。
ウェウェ
――仕掛けてきたのはあっちの方だ。覚悟がなかったとは言わせない。
ウェウェ
そんな、やけに冷静な声が聞こえる一方で――
ウェウェ
が。手は止まらない。刃先は容易く廻の心臓を捉えるだろう。
小山内 廻
が、倒れる前に胸を押さえて踏みとどまる。
伊藤 晶
2d6+3+1+1+5=>7 判定(+才覚+万能+多彩な凶器) (2D6+3+1+1+5>=7) > 10[5,5]+3+1+1+5 > 20 > 成功
小山内 廻
2d6+3=>7 判定(+才覚) (2D6+3>=7) > 11[5,6]+3 > 14 > 成功
小山内 廻
2d6+3+1+3=>20 判定(+才覚+多彩な凶器) (2D6+3+1+3>=20) > 8[3,5]+3+1+3 > 15 > 失敗
佐藤 優子
2d6+0=>7 判定(+猟奇) (2D6+0>=7) > 8[2,6]+0 > 8 > 成功
見て
2d6+1-4>=7 (2D6+1-4>=7) > 11[6,5]+1-4 > 8 > 成功
見て
Choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》] (choice[《封印》,《猛毒》,《指切り》,《衰弱》]) > 《指切り》
ウェウェ
2d6+3=>7 判定(+猟奇) (2D6+3>=7) > 9[6,3]+3 > 12 > 成功
小山内 廻
2d6+1-1 判決表 (2D6+1-1) > 6[3,3]+1-1 > 6
小山内 廻
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
小山内 廻
2d6+0=>7 判定(+愛) (2D6+0>=7) > 6[3,3]+0 > 6 > 失敗
伊藤 晶
ここまで相対して。音を聞いて。
彼の弾き方の、音の癖を何となく掴んだ。
彼の好む、脳が受け入れる音の特徴も、なんとなく。
で、あれば。こういった嫌がらせだって、可能と言う事。
伊藤 晶
少しずつ、少しずつ、彼の音からずれた音を混じらせる。
伊藤 晶
それはテンポを乱し、音程を乱し、知らず知らずの内に無防備にさせる音の毒。
伊藤 晶
……連弾の時に人に合わせる為の技術を、こんな形で使うことになるなんて。
伊藤 晶
それでも指は止まらない。妨害は辞めない。
──これ以上、一秒だって、彼と戦っていたくなかったから。
小山内 廻
やりたかったのは、こんな音楽じゃない。
小山内 廻
その想いを反映するように、落ちかけていたスピーカーが浮き上がり
小山内 廻
ウェウェに向かって弾むように襲いかかる
佐藤 優子
今まで聴いていた唖哩吮Pの音がまるで嘘のような、お世辞にも綺麗とは言い難い音
佐藤 優子
「させない…!」
手を伸ばす。戻ってほしいから。
小山内 廻
「出来もしないこと……言うんじゃ、ねぇよ……」
小山内 廻
「人を殺さないと生きられない世界なんて……」
ウェウェ
攻撃の方向が逸れた。文字通り、勝ち筋が”見える”。
ウェウェ
廻や晶の、音を用いて魔法を使うような攻撃に対して、
自分はどこまでも泥臭く武器を振るうことしか出来ない。
――もはやそれしか残ってないのだと、心が諦めてしまっている。
ウェウェ
だから、オレがお前を助けられるとしたら。
ウェウェ
見えた筋のとおり、まっすぐに。何もない荒野を駆ける。
ウェウェ
切っ先は過たず、三度目。廻の身体を捉える。
小山内 廻
風の刃は優子に届く前に、スピーカーとともにかき消えた。
GM
荒野にはおびただしい血が流れ、ひとりの青年の身体が横たわっていた。
GM
『死にたくない』という心一つで、まだ動いている。
ウェウェ
廻に馬乗りになる形で、逆手で剣の柄を握り締めたまま。
伊藤 晶
「……彼に聞きたいことがある。それまで待って欲しい」
伊藤 晶
「あぁ、それから。ウェウェ、その……お前が持ってる武器になるようなものは、今握っているものだけか?」
ウェウェ
「……さぁな。盗賊《シーフ》に訊くなよ、それ」
伊藤 晶
「しーふ、と言われても僕は知らないし……」
ウェウェ
「オレが持ってるって言っても言わなくても、信用するなってこと」
伊藤 晶
「成程、そういう……あるのなら一つ貸してくれないか、と言いたかっただけだから存外面倒くさいな……」
伊藤 晶
「僕は決めた。もう選んだ。後は彼次第だ」
伊藤 晶
「……まぁ、それでもいいさ。街に戻れば雑貨屋でナイフの一本でも扱っているだろうし」
伊藤 晶
「僕らは貧弱なんだよ。腕力ゴリラとはわけが違う」
佐藤 優子
「えっと…あの、何の話してるの……?」
伊藤 晶
感謝の意を込めた目配せを一つ。
ちらりと目をやって、伏せるように瞬く。
佐藤 優子
「とりあえず…お話するなら起こした方がいいよね…?」
佐藤 優子
1d6+4 (1D6+4) > 1[1]+4 > 5
佐藤 優子
(起きますように…目覚めますように…)
小山内 廻
ほとんど死にかけた身体に力がはたらく。
佐藤 優子
「よかった…潰してないよね?うん、大丈夫だね」
佐藤 優子
「えっとね、晶くんがお話ししたいって言ってて…」
伊藤 晶
「やっぱりこいつが一番怖いんじゃないか……堕落の国がどうとかより……」
伊藤 晶
「ん……まぁ、そうだな。聞きたいことが出来て」
伊藤 晶
「”生きたい”のか、”死にたくない”のか。どっちだ」
小山内 廻
「……死にたくないと生きたいって、一緒じゃないの?」
伊藤 晶
「……違うんだよ。だから教えてくれ。お前はどっちなんだ」
小山内 廻
「近所に、ロックバンドやってる兄ちゃんがいてさ」
小山内 廻
「たまに、ギター背負って迎えに来ててさ」
小山内 廻
「一回、弟の方につれられてライヴに行ったんだけど」
小山内 廻
「場所狭いし、狭いのに人、めっちゃ少なくて。」
小山内 廻
「おんなじようなステージで、数人にしか聴いてもらえなくて」
小山内 廻
「音楽を聴かせたいのか、琴の音色を聴かせたいのか」
小山内 廻
「大成功したけど、幸せじゃないってやつ」
小山内 廻
「生きたいし、死にたくないし、帰りたいし、本当は……もっと、たくさんの人に琴を聴かせたい」
小山内 廻
「あんな、幻の手じゃなくて。俺の手でさ」
伊藤 晶
「……で、お前は貸してくれないって事でいいんだな?」
ウェウェの方をちらりと見る
伊藤 晶
「あぁ、あらかじめ言っておくと。反論は受け付けない」
小山内 廻
「それは、自分のことしか考えてない子供がすることだ」
伊藤 晶
「そうだよ、僕は自分の事しか考えてない」
小山内 廻
「自分のこともよくわかってない子供がすることじゃない」
伊藤 晶
「確かに僕は自分の事を理解できていないかもしれない。でも、それでもわかる事はある。自分の事だから」
小山内 廻
「お前が、さ。こんな世界じゃやっていけない……ってなら、俺も止めはしないんだ」
伊藤 晶
「僕は、多分どこに居たって同じだ。決められたレールから外れられない……強迫観念もあるのかもしれないけど、それ以上に、そんな事自分が許せない」
伊藤 晶
「だから、どこにいたって死んだように生きてるだけだ」
伊藤 晶
「だったら、自分の意志で”生きたい”と思うひとが生きた方が、ずっとマシだろう」
伊藤 晶
「自分の事が見えてないだけだ、とかいうお説教は聞き飽きたからな」
伊藤 晶
「あと二日で見つけられる気は、正直しないな」
伊藤 晶
「三つ子の魂百まで、っていうだろう。どんなものを見たって僕のこの性格は変わらないだろうな」
小山内 廻
「俺だって、琴がやりたかったってわかったの最近だぜ?」
小山内 廻
「高校卒業までに、見つからなかったら」
伊藤 晶
「でも、それより前に目標があったんだろう。思いがあったんだろう。”聞いてくれる人が居ないのは怖い”、”人に聞いて貰いたい”ってさ」
伊藤 晶
「あのな、僕はただ自殺がしたくてこういう事言ってるんじゃないんだよ、分かってる?」
伊藤 晶
「猶予はあと二日なわけ。ていうかもう夜だからあと一日ちょっと?」
佐藤 優子
「私にはまるで晶くんが死のうとしてるように聞こえるんだけど…気のせいだよね?」
伊藤 晶
「…………」
この話の流れで理解してないの?って顔
小山内 廻
「お前たちにはまだたぶん、あと1周間くらいあるし」
伊藤 晶
「いいんだよ、そいつ馬鹿だし。困っておけばいい。ていうかいつでも勝手に困ってるし」
伊藤 晶
「ぼくは……べつに……すきとかじゃないし……」
小山内 廻
「こうやって、他人のために一生懸命になってさ」
伊藤 晶
「……まだ終わってない、から礼を言うには早い」
小山内 廻
「優子ちゃんは、殺そうとしてくれた俺のこと治してくれたし」
小山内 廻
「ウェウェは、本気で殺そうとしてくれた」
伊藤 晶
「……さっき言いかけたことだけど。僕は別に、自分の未来に悲観してとか、そういう訳で死にたい訳じゃない。ていうか積極的に死にたくはない。でも、」
伊藤 晶
「……ただ、死んだように生きてるよりは、心から生きたいって、やりたいことがあるって、好きな事があるって奴が生き延びた方が良いって、思ったから」
伊藤 晶
「だから、お前が生きられないなら僕の生死の問答に意味なんてない」
小山内 廻
「俺も、晶のこと殺して生きるの嫌かも」
伊藤 晶
「……でも、お前はやりたいことがあるだろう」
伊藤 晶
「それは、こんなところで偶々出会っただけの通りすがりの為に、捨てていいもんじゃないはずだ」
小山内 廻
「通りすがりのうちに、殺せたらよかったな」
小山内 廻
「……お前たちが、俺のこと殺せないって言うならさ」
小山内 廻
「明後日には化け物になってるかもしれないけど」
小山内 廻
「それまでに誰か見つかるかもしれないし」
小山内 廻
「それいうならお前らもあと1周間くらいだからな」
伊藤 晶
「……やっぱり起こさないままナイフか何か握らせてやればよかったか……」
伊藤 晶
「二日と七日を比べるんじゃない。算数も出来ないのか?」
伊藤 晶
「一先ず、いい加減地面に寝っ転がってるのもどうなんだ」
廻に手を差し伸べる。掴むかどうかは自由だ。
伊藤 晶
ぐ、と強く握りしめて離さない。
そしてそのまま、街の方向へ向かう。
伊藤 晶
「それじゃあ、先に戻って雑貨屋に寄ることにする。じゃあな」
ウェウェ
「オレがここで死んでやったって良いんだぞ」
ウェウェ
「これから一生、この国で、30日ぽっち生きるのにこんな問答しなきゃなんねえのは――正直御免だね」
伊藤 晶
「……それは時と場合に寄るんじゃないか……?」
伊藤 晶
「今回はまぁ、僕みたいなのが居たからこういうことになってるが。いなくなればまた変わる筈だ」
伊藤 晶
「言っておくがこの手は逃走防止用だ。事が済むまで離れると思わないことだな」
小山内 廻
「ええっ、でも、いや、だから俺あと2日弱で……」
伊藤 晶
「雑貨屋なら、ナイフの一本くらいあるだろう。流石に絞死は嫌だぞ、苦しすぎる」
小山内 廻
「いやいや、馬鹿!またそういうこと言って」
小山内 廻
「優子ちゃんも何か言ってやってください」
佐藤 優子
「まず誰かがここで死んでそれでハイ良かったね!とはならないよね?」
佐藤 優子
「そりゃ私だってどうしたらいいかなんてわっかんないけどさ」
伊藤 晶
「そうだな。良かったな、となれないから、その中での最善を選び取るんだよ」
佐藤 優子
「~~~~っ!みんな、誰も死んでほしくないじゃん!」
伊藤 晶
「じゃあそう言って、全員共倒れになるか?」
伊藤 晶
「あれも嫌だ、これも嫌だっていうならせめて対案を出してくれないか」
ウェウェ
「オレが死ぬ思いしてこいつを殺そうとしたのは」
小山内 廻
「お前に生きていてほしいから、そう言ってるんだよ」
伊藤 晶
「……命に軽重はない。立場が機能しないここでは余計にそうだろう。誰が死んでも等価値だ。……だったら、その中から選ぶしかない」
伊藤 晶
「ウェウェ、お前は言っただろう。”お前が選べ”って。僕は選んだ」
ウェウェ
「都合のいいときばっかり人の台詞遣いやがって」
伊藤 晶
「悪いが、僕は割とああいえばこういうタイプだ」
伊藤 晶
「正直、事ここに居たってはお前の同意を取れなくてもいいかな、という気分になってきてるんだが……何か、まだ引き留めるのか?」
小山内 廻
「俺が生きたいって言う事、わかってたろ」
小山内 廻
「ナイフなんて無くても、俺はお前のことも、俺のことも殺せるんだ」
小山内 廻
「お前が俺の指を切り落としたようにさ」
伊藤 晶
「どうせ殺すなら、何かこう……力を使ったりするんじゃなく、その手で殺してほしい。これは僕の我儘だ」
伊藤 晶
「……そうだな。出来るだろうさ。でも、それじゃあ、何も残らないだろう」
伊藤 晶
「……あの時、僕の手に感触なんかなかった。あの時だけじゃない、他のことだってそうだ。確実に人に危害を加えてるのに、この手には何も残らない」
伊藤 晶
「折角だったら、最後まで覚えてて欲しい、っていう我儘くらいは許されてもいいだろう」
小山内 廻
「この数日間、ずっと考えてたんだから」
小山内 廻
「いつ殺そうかって、考えられたのは最初だけで……」
小山内 廻
「ウェウェがあっちのが好きだって言ってくれたときも、歌考えてくれるって言ったときも」
小山内 廻
「優子ちゃんが、俺が化け物になったら、戻す方法考えてくれるって言ってくれたときも」
小山内 廻
「晶が、ピアノの話、聞かせてくれたときも」
伊藤 晶
「困ったな……泣かないでくれ」
そっと、頬に触れていない方の手で涙を拭う。
伊藤 晶
「僕の予想としては、もうちょっと簡単に話が進むと思ってたんだが……すこし、嬉しいな」
伊藤 晶
「……僕はさ。どこに行っても”伊藤さんの息子”だったから。”ただの伊藤晶”を見てくれる人なんて、何処にも居なかったんだ」
伊藤 晶
「この世のどこにだって、”僕”の事は残らないんだろうなぁって……」
伊藤 晶
「だからさ、うん。かなり嬉しいし……そうやって、人の為に泣ける奴が、生きるべきだよ」
伊藤 晶
「お前たちの心に残るなら、僕が生きてた意味ってかなりあるんじゃないか?」
伊藤 晶
「……あぁ、じゃあひとつ、とっておきを聞かせてやろう」
伊藤 晶
「僕、自分の意志で、自分だけの気持ちで何かを決めるのって……これが初めてだ」
伊藤 晶
「忘れろなんて言わない。ずっと覚えててくれ。そうしたら、僕は初めて、”ただの伊藤晶”になれる気がするんだ」
伊藤 晶
下手くそな笑みを浮かべたまま、そっと抱き寄せる。
人を抱き締めたことなんて今まで一度もないけれど、泣いてる人にはこれをしたらいいって、何かの本で載ってたから。
小山内 廻
「そこまで言われたら、俺……何も言えなくなっちゃうじゃないか」
伊藤 晶
「僕は一度こう、と決めたら頑固らしい。諦めてくれ」
ウェウェ
手の内の、廻の血が着いたままのスティレットを回す。
小山内 廻
殺し方はさっき、ウェウェがやってくれたから。
小山内 廻
手の中で、刃を逆にして首に押しあてる。
伊藤 晶
「そうだ。僕は死にたくなかった。そして、……廻は生きたかった。言っただろ、”死にたくない”と”生きたい”は、大いに違うんだ」
伊藤 晶
「あぁでも、自分から諦めたりなんかはしないで欲しい。最後の最後まで精いっぱいやって、それでもだめだったら仕方ないさ」
佐藤 優子
「晶くんが死んでいい理由なんかないよ」
小山内 廻
俺たち、出会ったのがこんな世界じゃなかったら
佐藤 優子
「じゃあこんなの黙って見てろってそう言うの!?」
ウェウェ
「これが、これからオレたちが生きる世界だよ」
ウェウェ
「オレだって嫌に、決まってるだろ……!」
小山内 廻
首にあてた鋭利な刃が僅かに滑り、赤が滲む。
ウェウェ
「……オレらに出来ることなんか、もうなんにもねえんだよ」
小山内 廻
最初はわからなくて、痛くて、それから頭がぼんやりして。そんな感じだったなと思い返す。
小山内 廻
あの時俺は死にたくないって、生きたいって願ったから起き上がれたけど
小山内 廻
できるだけ痛くないようにって願ったら、そうなるのかな
伊藤 晶
ほんの微かな痛みにぴくり、と身動ぎして。
それきり、じっと黙って動かない。
眼は閉じなかった。最後に見るなら、優しい人の顔がいいと思ったから。
ウェウェ
下手に動けば骨が折れるほど強く握って、離さない。
小山内 廻
手に力を込め、内側から外に向けて一気に押し斬る。
小山内 廻
たくさん話した。たくさん考えた。たくさん、たくさん……
小山内 廻
もっと、たくさん。話したかった、けれど
小山内 廻
晶がわがままを言ったように、それも俺の我儘だから
伊藤 晶
最初は冷たくて、次に熱くて。
その次の感覚が来る前に、どんどん目の前は暗くなっていった。
──そういえば、人間の死に際に最後まで残るのは、聴覚だったか。
伊藤 晶
そんなことを思いながら、意識を手放した。
伊藤 晶
ありがとう。
今なら、好きだったと言えるかもしれない。
お前たちの事も。
……ピアノの事も。
小山内 廻
力が抜けていく身体を、ずっと抱きしめていた。
小山内 廻
膝をついて、もう、晶がいないことを確かめて。
GM
墓守の末裔は、三人が救世主であることがわかると
GM
可能な限り大事に維持していくと約束してくれた。
GM
酒場の末裔は帽子屋で、朝になるとこんこんと扉を2回。
佐藤 優子
まず初めに思ったのは人が死んでもお腹が空いて眠くなるんだなってこと
佐藤 優子
人が入る穴なんて掘ったことなくて、だからウェウェくんがほとんどやってくれたようなものだったけれどそれを完成させて
佐藤 優子
廻くんの顔は…正直見れてない
何て声を掛けたらいいのかなんて分からなかったから
佐藤 優子
ずっと泣いてたから顔が腫れぼったくって、この国の天気がずーっと晴れないことを思い出して、それとこれとは関係ないのに更に落ち込んで
佐藤 優子
それで、いろんなことが嫌になって藁に潜って…
気がついたらパンの匂いがして目が覚めて
あ、私寝てたんだ…って気がついた
佐藤 優子
髪はぼさぼさだし、汗の臭いできっと酷いだろうし、声もガサガサ。
佐藤 優子
「ウェウェくんが早いだけだよ…廻くんは?」
GM
廊下に出たのなら、既に廻の部屋の前のパンは無くなっていることに気がついただろう。
佐藤 優子
「…起きてるみたいだね」
扉を開けて確認する
ウェウェ
「……行くか。ど~せお前と一緒でシケた面してんだろ」
佐藤 優子
「あ、ちょっと、もう少し気遣いとかさぁ…!」
小山内 廻
ベッドの上で荷物の整理をしていたところ、扉の開いた音に顔をそちらに向ける
佐藤 優子
「あ、おはよう。驚いたよね?ごめんね?」
ウェウェ
「別に。そこのトロバカ女が気にしてたから」
小山内 廻
「でも、ほら……晶につないでもらった命だからさ」
小山内 廻
「なんか、ずっと悲しんでたりするのって、ほら」
小山内 廻
「『お前は生きたいんじゃなかったのか?』とか言って」
小山内 廻
「やろうと思ってたこと、生きてるからできること」
小山内 廻
「ちゃんとしながら、生きなきゃなって」
佐藤 優子
「今の廻くん、すっごい”救世主”って感じがする」
佐藤 優子
「何ていうか、何でもやっちゃえそうな感じ?」
小山内 廻
『責務』を超えて、なにか変わっただろうか。
小山内 廻
それとも、ずっと。心(ここ)に晶がいるからだろうか。
小山内 廻
「……まだ、『責務』の問題って解決したわけじゃないし」
小山内 廻
「俺、帰る方法探そうかなって思ってて」
小山内 廻
「だって、最後のひとりだけなんて、無理だろ?」
佐藤 優子
「ねぇ!私達もそれ手伝ってもいい!?」
ウェウェ
「言ったろが。一緒に行く義理はねえっての」
ウェウェ
「……でもそこのトロバカもついてくるんだろ~?」
小山内 廻
「ん~、裁判中なんて言ってたか、俺覚えてるけど」
ウェウェ
「…… ……」なにか言い返そうとしている……
佐藤 優子
「それにまだ冒険のお話全部聞かせてもらってないけど?まさか打ち切りで逃げる気?」
ウェウェ
「うるせえなあ!オレこれから一人でこの馬鹿二人面倒見んの!?」
ウェウェ
「あんときも言ったが、オレは30日ぽっち生きるのにまたあんなことになるのは御免だぜ」
ウェウェ
「……次が見つからなかったら、今度こそ黙って殺すからな」
小山内 廻
「俺は、もう……簡単には死ねないからさ」
佐藤 優子
「む!私だってこの力がある限りは簡単に死なせませんけど」
小山内 廻
「30日以内になんとかできるように頑張ろう」
小山内 廻
人を殺しても生きなくちゃいけない理由なんてないと思ってた、けど
小山内 廻
今はある。それだけで、生きようって思える。
佐藤 優子
「トロくないもん!ウェウェくんより脚長いもん!!」
佐藤 優子
「もぉ~…いいもん。町で情報集めながらご飯探すもん…」
佐藤 優子
「ってそうだ!冷めちゃう!私食べてくるね!」バタバタと隣の部屋に
ウェウェ
「ま、にっちもさっちもいかなくなったらの話だがな」
小山内 廻
「でも、どうしようもなくなったら……」
GM
死にたくないということ。
生きたいということ。
GM
その先に待つ未来が、悪意と絶望に満ちた世界だとしても。
GM
Dead or AliCe『Dragger Than Musiceian』